赤ちゃんでも待ち時間をイライラせずに過ごせる方法がありました
~ステーキ店での待ち時間~
先日、何気なくテレビを見ていたら、なかなか興味深い話が紹介されていました。
とあるチェーン展開しているステーキ屋さんでは家族連れのお客さんが増えていて、なかなかに売れ行きが好調らしいのです。しかしながら、流行っている飲食店にはつきものの長い待ち時間が発生してしまい、なんとか対策を考えなくてはいけないという状況になったようです。
特に「家族で来やすい」というのが評判になったことから、まだ言葉も話せないような小さな子どもを連れてきているお客さんも多く、そんな親御さんは子どもをあやすのに一苦労。その時間を考えるととても「家族で来やすい」なんて状況ではなかったことがうかがえます。
~リアルタイムに状況を共有~
番組としてはここでクイズになり、「さて、一体どんな対策をしたのでしょう?」という流れだったのですが、どうでしょうか?
もちろんこれはステーキ屋さんの話で、診療所やクリニックとはまったく状況が違います。違うのですが、クリニックにおける定番の待ち時間対策に頭を悩ませている方であればピンと来るかもしれません。
残念ながらここではテレビ番組のような凝った仕掛けがないので、サックリと答えを出してしまいますが、正解は、「リアルタイムにモニターで調理している映像を流す」というものでした。ステーキを焼いたり切り分けたりする映像をカメラで撮影してリアルタイムに流すことで、待ち時間の不満を、ごちそうにありつける期待に変換するということに成功したようなのです。
プロモーションを兼ねた脚色はあるのでしょうが、確かにぐずっていた赤ちゃんが焼かれているステーキを見ながらニコニコして手を叩きだしたりしていて、「ああなるほど、こういうものなんだな」と感心してしまいました。
~クリニック・診療所との共通点~
繰り返しになりますが、これはステーキ屋さんでの話ですから、当然クリニックとは状況がまったく異なります。異なるのですが、やはり何かヒントが隠されているように思います。
仮にそのままこのやり方をクリニックに持ち込んだらどうでしょうか。診察の様子をカメラで映して待合室に流す?プライバシーの問題を抜いて考えたとしても、ステーキ屋さんのように「患者さんが、今か、今かと診察を待ちわびる」という感じにはならなそうです。そもそも診療行為の場合「回復して良くなる」というのがゴールで、「診察を受ける」というのがゴールではありませんから、そこで期待を上げるという事自体にどうにも違和感を感じます。
ですが、「なぜイライラするのか」という点に限って言えば、ステーキ屋さんもクリニックも似たような共通の要素を抱えています。それはつまりシステムが入る前は、「待っている間に状況がわからなかった」という点です。「待ち時間に関する情報が無いとイライラする」ということは、裏を返せば「待ち時間に関する情報を提供すれば、イライラの緩和につながる」ということでもあります。現にそのステーキ屋さんでは待ち時間に関わる情報を視覚的に伝えることによってイライラを期待にまで変えた訳ですから、効果は劇的です。
まさにこの点はアイチケットが「待ち状況の表示」にこだわっている点と一致します。「どれくらい待つことになるのか」患者さんに待ち状況が伝わることは、やはり待ちやすさに直結する大事なポイントです。
~伝わりやすさ/分かりやすさ~
また、もう一つの学びは「わかりやすさが重要」という点です。ステーキ屋さんの場合には「目で見てわかる」という分かりやすさがショー的要素も演出していますが、「子どもでもわかる」わかりやすさがあるからこそ、言葉が通じない子どものイライラまで緩和できたのでしょう。
リアルタイムに映像を伝える訳にはいかない診療所やクリニックでは、抽象化された数字を使って待ち状況を表現するのが、今のところ分かりやすさの限界です。しかしながら既に抽象化されているわけですから、単純明快でシンプルなルールにこだわらないと、患者さんにはうまく伝わりません。
これは予約システムを活用していく上でも、基本でありながら非常に重要なポイントです。「順番が前後するから表示も前後させないといけない」とか「待ち状況は実際とは異なることがあるからモニター表示はやらない方が良い」といったご意見をいただくこともありますが、「分かりやすく相手に伝わること」を第一に考えると、どちらも賛同しかねる内容です。
むしろ、「ステーキ屋さんのようにもっとわかりやすいシステムを目指して、テクノロジーが発展していけば良いな」と思いますが、皆さんはいかがでしょうか?