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電子カルテ連携は必要か

~診療予約システムは、電子カルテと連携するのが当たり前?~

新規開業の準備中で電子カルテを選定をされている最中などは特に顕著な印象がありますが、「診療予約システムは電子カルテと連携するのが当たり前」と考えている先生が結構いらっしゃいます。

実際に話を伺うと「そういうものだと聞いたから」あるいは「連携しないと不便そうだから」といった内容が出て来るのですが、「何のために連携が必要なのか」「何が不便なのか」といった詳細を確認すると、結局「なんとなくのイメージ」に対して後追いで理屈をつけているようなケースが多い印象です。これは思うに「【診療予約システム】に関する偏った情報が、世に溢れているため」ですので、今回は「予約システムと電子カルテ連携」について「賢く選択するための情報」を提供していきたいと思います。

ちなみに、アイチケットがこれまでに【診療予約システム】を導入したクリニックは2000施設以上ありますが、電子カルテ連携をしながら使っているクリニックは全体の「2%程度」です。つまり「98%のユーザー」が、「電子カルテ連携をしない状態」で【診療予約システム】を活用している「圧倒的多数派」ということになります。この数字だけでも「【診療予約システム】は電子カルテと連携するのが当たり前」という考え方が、実状といかに乖離しているものかご理解いただけると思います。少なくとも【アイチケットの診療予約システム】は「電子カルテと連携しなくても、問題は無く活用できるシステム」であり、ありがたいことに現状【アイチケットの診療予約システム】が「圧倒的少数派ではない」ということは導入施設数からも明らかです。

~電子カルテ連携の目的~

電子カルテ連携を実施する目的について考えますと、狙いは大きく2つに分かれますがいずれも「作業効率化」を目的としている部分は一致しています。

  1. クリニック側の作業効率化・・・「院内で予約の管理をする際など、診療予約システムを操作をするスタッフに向けた」作業効率化
  2. 患者側の作業効率化・・・「自宅など、クリニック・診療所の外からインターネットで予約を取ろうとする患者に向けた」作業効率化

そもそも、「電子カルテ連携」の前提には、「患者データの流用」という考え方があります。例えば、診療予約システムを活用する上で「患者情報」を必要とする際に「必要な情報が電子カルテにあるなら、そこから取って来る」、あるいは逆に電子カルテで「患者情報」を登録する際に「必要な情報が診療予約システムにあるなら、そこから取って来る」と、「2度手間を防ぐことができて処理が速い」という考え方です。

当然ながら、この「患者データ」に関しては個人情報になりますので、扱いは十分注意しなくてはなりません。そして情報セキュリティの観点からすれば、「診療予約システムと電子カルテを連携している場合は、そうでない場合よりもセキュリティのレベルが下がる」という話になります。

~セキュリティリスクに対する考え方~

診療予約システムは「インターネットを通して、患者がアクセスする」という性質上入口はインターネットに開いている状態になりますが、その「インターネットに開いているシステム」と電子カルテに保管された個人情報が密接に関連付けられる訳ですから、その状態でどんなセキュリティ対策をしても「連携していないよりもセキュリティレベルは下がる」のが普通です。ただし勘違いしないでいただきたいのですが、「セキュリティレベルの低下」が「即漏洩につながる」という話ではありません。極端な話、「個人情報を含んだ、電子カルテに触る人間がいる」というだけでも「誰も触らない」ということに比べればリスクが高いということになりますし、物理的に持ち出すことまで考えれば「カルテがあるだけでリスクは発生する」ということになりますので、「リスクをゼロにする」というのはどうやっても不可能な話です。結局のところ「許容すべきリスクを理解して、対策を講じておく」という事が重要で、「電子カルテと診療予約システムを連携するのであれば、連携にともなうリスクを認識して、事故が起こらないように対策を考える」という責任が「診療予約システムを活用しているクリニック・診療所に対して」発生することを意味します。

ちなみに、あまり話すとそれ自体がセキュリティリスクになりかねないので詳しくはお伝えできませんが、アイチケットでは電子カルテと連携する際に「必要な分だけ、その都度電子カルテに照会する」という方法を採用しています。これは、「使わないかもしれない患者データは、予約システムが保持しているだけセキュリティのリスクが上がる」という考えに基づくものです。こうすると「あらかじめ、電子カルテから患者すべてのデータを引用して、予約システムの中に取り込んでおく」というやり方よりも処理が遅くなってしまうのですが、一般的に診療予約システムがやりがちなそのデータの持ち方は、セキュリティリスクが高いと考えアイチケットでは別の方法を採用しています。

~電子カルテ連携に頼らない方法~

利便性の陰に隠れてしまってセキュリティリスクの話は直視されないことも多いのですが、これ自体は結構危険な兆候です。「そんなものは業者が何とかするもの」と考える先生もおられるかもしれませんが、漏洩などの事故が発生した際真っ先に問われるのは「クリニック・診療所の責任」です。当然「患者データを連携する/しない」はクリニック・診療所の自由ですので、「セキュリティのリスクについて理解した上で、そのリスクを受け入れた」と判断されることでしょう。

このようにセキュリティリスクの話を真面目に考えると「電子カルテ連携せずとも利便性が高いシステムを選びたい」と感じる先生も多いと思います。そこで一旦、目的に立ち戻って別の方法を考えてみましょう。目的は「クリニック側の作業効率化」と「患者側の作業効率化」の2点ですので、これを電子カルテ連携以外の方法で実現できれば良い訳です。

「クリニック側の作業効率化」について考える前に1つ前提を疑ってみましょう。それは「電子カルテ連携をするから利便性が高くなる」のか「電子カルテ連携をしないと不便」なのか、という話です。以前別の記事でも指摘した通り、現在「診療予約システム」は多種多様な進化を遂げています。当然、「元々は単体で利便性が高くない」ものに「何かを組み合わせれば利便性が向上する」というメーカーは、「単体で利便性が高くない」という事を声高に主張したりはしません。宣伝文句としては「電子カルテ連携で便利に使える」と言います。この言い回し、聞き覚えがありませんか?

~クリニック内作業の効率化~

複数のシステムを連携するということは機器構成の複雑さを招き、ひいてはトラブル発生の増加につながります。セキュリティリスクの話もそうですが、本来「別のシステムと連携する」ことによって何某かのリスクを増加させる以上、「連携しなくても便利」という状況が前提になっていないと、ユーザーに対してフェアではありません。

例えば、「診療予約システム側で、受付された患者の一覧表を作る」というイメージを先行して持たれている先生が多くいます。アナログな方法では「来院したら記名する台帳」を受付に用意しているクリニックがありますが、それを電子化するようなイメージです。「名簿を作る」という前提に立ってしまうと「どうやって名前を集めるか」という話になってしまいがちですが、そもそも「診療予約システムにおいて、全員分の名簿を集める必要があるのか」といえば、甚だ疑問です。特に順番予約であれば、「患者に対して渡した番号が、誰の番号であるか」が分かれば、番号を進めるための情報としては必要十分です。つまり順番予約システムでは、そもそも全員分の名簿を集める必要がありません。

また「参照すれば1回の手間で済むから効率的」という話もよく聞きますが、この話も非常に不思議です。処理にかかる時間が同じであればそうかもしれませんが、実際には「人の手でやった方が速い」という処理はいくらでもあります。「患者データの引用に5秒かかるが、人の手で入力すれば2秒で済む」という状況であれば、少なくとも全体の作業を効率的に処理できるのは人力ということになります。効率化というのであれば「短時間で入力が済むように、必要な入力項目を限定する」といった方法もあります。

~患者側の作業効率化~

こういった運用上の最適化を実施した上で、はじめて「リスクを取ってでも、電子カルテと連携する」という話を検討するのが本来の形ですので、まずは「電子カルテと連携しないでどこまでできるのか?」という部分のシステム比較を、デモを通して確認することをおすすめします。

一方「患者側の作業効率化」に関しては、そもそも「診療予約システム」を使って「インターネットから予約を取らせる」という行為が「患者満足度向上」の為であることから、できるだけ効率化されているのが望ましいと言えます。プロフェッショナルであるクリニックのスタッフが毎日システムを触るのとは違い、多くの患者からすれば「慣れていないシステムに時々接する」という状態ですから、「予約のたびに、自分の名前を毎回入力しないといけない」というような手間はできるだけ避けたいところです。

この点に関しては「電子カルテから情報を引用しなくても」効率化を図ることが可能です。それは、医院の外側に「患者自身で、個人情報を登録できる場所」を作り、予約の際に引用させる方法です。アイチケットでは「アイチケット広場」という「患者向けのサイト」を作り、そこに患者自身で個人情報を登録するようにしています。アイチケット広場には「アイチケットを導入しているクリニック」も登録されていて、予約の際にはアイチケット広場を通してクリニックとつながることができます。

~安易な考えで、電子カルテ連携はおすすめしません~

昨今は診療予約システムと電子カルテが連携・連動しているのが割と当たり前のような風潮になってきていますが、やはり電子カルテは個人情報のかたまりですから、利便性に偏りすぎた考えにならないよう注意しなくてはなりません。特に「セキュリティのリスク」「機器構成が複雑になることによるトラブル増加のリスク」に関しては、度外視すると導入後に後悔しても取返しがつかない事態を招き兼ねませんので、十分に検討を重ねた上で、ご判断ください。

とは言え、なかなか実際の動きを見てみないと、利便性が高いのか低いのか判断がつかないと思いますので、まずはデモ(無料)で他の診療予約システムと比較していただくのが良いと思います。

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