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クリニック予約のヒント(20)時間帯予約は順番予約を凌駕するか

クリニック予約の
疑問に答えるシリーズ

シリーズ「クリニック予約のヒント」では、予約システムに関する質問・疑問に対して端的に回答していきます。

【20回目】となる今回はこちら

Q:知人の先生から、順番予約よりも時間帯予約の方が良いと聞きました。アイチケットさんは比較的順番予約を推奨しているように感じますが、時間帯予約だけで運用するのは難しいのでしょうか?

では、参ります。

結論

結論から申し上げますと、「クリニック様の状況により」それぞれの予約方式を適用させる難易度は変わります。「どちらが良い」とは一概には言えず、状況次第でお勧めできる方法は異なって参ります。

察するに、先にお話しを聞かれたクリニック様では「現状、時間帯予約を十分使いこなせている」か、「順番予約を使いこなすことができず、時間帯予約を取り入れることには一部成功している」か、そのような状況なのでございましょう。

状況が変われば同じ結果にはなりませんので、今回はご自身の状況に照らして「時間帯予約だけで十分なのか」判断するポイントをお伝えして参りましょう。

時間通りに進むか、否か。

時間帯予約にせよ順番予約にせよ、クリニック診療に予約を取り入れる際は多少なりとも「患者様を待たせない」という意向が存在することと存じます。従いまして、時間帯予約のみで運用するのであれば「時間通りに」、順番予約であれば「順番通りに」進行していることが運用の前提となります。

しかしながら、いずれの場合も実際の現場において「100%その通りに進められる」ということはございません。時間帯予約で多少時間がずれ込むこともあれば、順番予約で順番が前後することもあります。

気にするべきは、患者様がそのことを「不満に思うか否か」です。

特に気を付けなければならないのは、「期待の裏返しは大きな不満につながる」という点でございます。その意味では、より高い期待を持たせる運用は、より大きな不満と隣り合わせとも考えられます。順番予約と時間帯予約を比べますと、約束の内容は明らかに「時間帯予約」の方が明確です。当然、どちらも可能なのであれば「時間帯予約」の方が利便性に優れていますし、期待値も高くなります。

裏を返せば「時間帯予約の方が、過敏に反応されやすい」とも言えます。

多くの患者様にとって、クリニック様で多少待たされることは想定内です。中にはイレギュラーを一切許容できないクレーマー気質の方もいらっしゃるかもしれませんが、それ自体の絶対数はそれ程多くはありません。

しかしながら、待たせるにも限度がございます。

我慢の限度を超えやすいのは、約束内容が明確な「時間帯予約」ですので、「約束した内容(日時)を守れるか否か」について、よりシビアに考える必要がございます。少なくとも患者満足度の観点からは、「守れない約束」が常態化することは避けた方が宜しいかと存じますので、時間帯予約のみで運用する際に、まずはこの点をチェックすることをお勧めいたします。

患者数は十分か

少しかみ砕いた言い方をしますと、時間帯予約とは「特定の日時に、何人ずつ対応するか、あらかじめ決めて約束する」予約方式です。つまり、対応する人数を時間ごとに細かく設定することが前提となって参ります。

もちろん順番予約も実質無制限ではありませんし、あえて人数制限をかけることもございます。しかし、順番予約が一般的には「午前」「午後」といった大きな括りで構成されるのに対し、時間帯予約は「30分単位」「15分単位」など、より短い「時間帯群」により構成されます。当然ながら、緩やかな制限の順番予約よりも、細かい制限を積み重ねた時間帯予約の方が、人数制限の力は強くなります。

従いまして、例えば「院内の混雑を緩和する」といった課題にあたり、より強力な効果を発揮するのは「時間帯予約」です。感染症対策を何よりも最優先する必要があった時期は、アイチケットの順番予約を長年ご利用されていたユーザー様の多くも、一時的に時間帯予約中心に切り替えられておられました。

反面、対応できる患者数が少なくなりがちなのも「時間帯予約」です。

1つ目に挙げた「待ち時間に対する患者満足度」の観点からも、「感染症対策」の観点からも、対応しきれない人数を「予約枠」として設定するのは避けるべきです。すると「対応できる無難な人数」を設定することになり、全体の患者数は少なくなりがちです。

つまり「予約枠数よりも少ない患者数」を前提とするならば時間帯予約が運用しやすい環境であり、「それ以上の患者数に対応する」ことを求めるならば時間帯予約の運用は難しくなって参ります。

順番予約がうまくいかない

「積極的な理由から時間帯予約が良い」というご意見をお持ちの方がいらっしゃる一方で、「順番予約はうまくいかない(いかなかった)から時間帯予約が良い」というご意見の方もいらっしゃるかと存じます。

順番予約は「番号順のシンプルな仕組み」と表現することもありますが、概念的には時間帯予約の方が「予約」という言葉との親和性も高く、患者様からすれば「約束した日時に行けば良いだけ」ですので、よりシンプルとも言えます。

順番予約の「シンプルさ」は、どちらかと言えば「クリニック様にとっての作業」に係る部分が大きいものです。業務における「操作のシンプルさ」「作業工程の少なさ」といった部分は、確かに順番予約の方が圧倒的に「シンプル」です。しかし、患者様の行動としては「順番を逐次確認してタイミングを計る必要がある」予約方式ですので、時間帯予約と比べるとやや複雑です。

そこで、クリニック様の狙い通り患者様に動いていただくために、順番予約では「患者様へのルール周知」が重要になって参ります。

患者様が「なんとなく番号を取って、なんとなく適当に行く」といった状態では順番通りに進まなくなりますので、「自分の順番の3番前には近くで待機してください」といった「順番を円滑に進めるためのルール」を作り、それを守ってもらうよう周知することが重要です。このような周知が上手くいかないと、「番号通りに呼ばれない」といった不信感を患者様に与えてしまい、順番予約の運用は失敗しがちです。

「順番予約よりも時間帯予約の方が良い」というご意見が何を根拠にしたものか明確にすることは、状況に即した判断に欠かせない要素でございます。どのような手法にも気を付けるべきポイントがございますので、「ある環境下で上手く運用できなかった」という事実を、ご自身にそのまま当てはめて考えることはお勧めいたしません。

ほかにも稀なケースではありますが、開業して間もなくなど「患者数が極端に少ない」状態では「そもそも待たない」ために順番予約があまり効果的に働かないこともあります。このような場合は、積極的に時間帯予約を活用するなど「患者数が少ない状態」を前提とした運用に切り替えることも必要ですが、患者数が多くなった際には先に挙げた「時間通りに進むのか」「患者数は予約数以下で十分なのか」といったポイントと照らして再検討することをお勧めいたします。

「上手く回れば」時間帯予約で良い

元々アイチケットは順番予約のみでスタートしたサービスということもございまして、「アイチケットは順番予約を推奨している」といった表現をされることもございますが、実際は「上手く回るならば、時間帯予約で良い」いや、あえて言うならば「上手く回れば、時間帯予約の方が良い」と考えております。

しかしながら、「患者様1人あたりにかかる時間が一定ではない」という前提が多くのクリニック様にはございますので、「時間通りに進める」ならば「予約枠数は控えめにせざるを得ない」ことになります。

多くのクリニック様は「できるだけ多くの患者様の期待に応えたい」とお考えになられますので、時間帯予約に固執してしまうと「診察スピードに対して、予約数を多くしすぎる」といった無茶な運用を採用しがちです。結果、このようなクリニック様では「予約全般が向かない」という極端な結論に至ることも少なくありません。

「順番予約」とは、日時を指定する「時間帯予約」を採用しにくい状況でも待ちやすさを提供できる、いわば「次善の策」です。理想よりも現実に即した「現場寄りの発想」に基づいておりますので、クリニックの現場にこれから直面するご開業前の先生にはご理解いただきにくいこともございます。

しかしながら、単純化された「時間帯予約が万能」といったご意見には賛同しかねます。もちろん上手く運用できることもございますが、冒頭で「状況次第」といった旨の結論をお伝えしたのは、このような事情がある為でございました。

それでは、本日のまとめに参りましょう。

Summary(まとめ)

  • 時間帯予約のみで運用できるか否かはクリニックの状況に大きく依存する。
  • 時間帯予約で上手く運用が回る1つ目のポイントは「約束した時間」を守れること。
  • 時間帯予約で上手く運用が回る2つ目のポイントは「予約枠数以下の患者対応」を前提とすること。
  • 順番予約は、患者へのルール周知が上手くいかないと失敗しがち。
  • 時間帯予約を上手く運用できるに越したことは無いが、条件的に順番予約の方が運用しやすいことも多い。

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