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クリニック予約のヒント(21)診療科目別・予約システム活用のポイント

クリニック予約の
疑問に答えるシリーズ

シリーズ「クリニック予約のヒント」では、予約システムに関する質問・疑問に対して端的に回答していきます。

【21回目】となる今回はこちら

Q:代理店として複数のクリニック様に予約システムの提案を検討しています。診療科目の違いによって、予約システムの運用が変化するようなことはありますか?

では、参ります。

診療科目による特性の違い

「それぞれのクリニック様によって、事情はすべて異なる」という前提はございますが、あくまで一般的な傾向として、知っておいた方が良いポイントはございます。

今回は、アイチケットの予約システムが特に多く導入されております「内科」「小児科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」の4科目と、運用パターンが分かれるためやや敬遠されがちな「眼科」「整形外科」の2科目、併せて6科目についてのお話をいたしましょう。

実は「内科」「眼科」につきましては、以前それぞれ当シリーズ内で個別に取り上げたこともございますが、今回改めて要点を絞ってお伝えして参ります。

「内科」のポイント

内科様の場合、予約に関わりが深い部分をピックアップいたしますと、

  • 高齢の患者様が多い。
  • 慢性疾患で定期的に通われる方が一定数いらっしゃる。
  • 検査や処置等、診察以外の診療行為が混在する。

といった事情が前提となっていることが多くございます。

1つ目の高齢の患者様が多くいらっしゃることから気を付けるべきは、「予約システムをインターネットに寄せすぎない」という点かと存じます。

予約システムにとって、インターネット経由の予約ができることは非常に大きな利点ではございますが、患者様の多くが「スマートフォンやインターネットを上手く使いこなせない」という状況であれば、逆効果になりかねません。

時間帯予約の場合は「電話での予約」「会計時に次回の予約」など、インターネット以外での方法を併用することで「インターネットが使えなくても従来通りで良い」と感じていただけます。「インターネットでなければ予約が取りにくい」など、余程偏った運用になっていなければ、それほど心配はございません。

順番予約の場合は「先着順」となりますので、やや注意が必要です。システムを導入することでインターネットで順番を取れる状態になったとしても、窓口に並んだ患者様に番号を渡し終わり一段落したタイミングで「ようやくインターネットで順番が取れるようになる」位の時間差をつける方が、スムーズに運用できます。あるいは「インターネットを使った待ち状況の確認」はできる状態にしつつ、「インターネットで順番は取れない」といった制限をかけることで、高齢者も含めた満足度のバランスをとることもございます。高齢者が慣れているツールに寄せる意味で「電話呼び出し機能」なども、組み合わせると効果的です。

2つ目の慢性疾患の患者様が一定数いらっしゃることからは、「予約」と「予約外」、あるいは「日時を決めた時間帯予約」と「当日の順番」との兼ね合いを考慮し、バランスを取ることが重要です。

患者様全員を決まった日時の予約枠に当てはめる「完全予約制」のような方法であれば分かりやすいのですが、その場合多くの患者様に対応しにくく、急性疾患の患者様も冬の混雑する時期に増えることから、多くの内科様では「事前に予約した患者様」と「それ以外の患者様」の2つに分かれる状態になりがちです。「予約外」の患者様からは「日時を指定した予約患者様」は割り込んできたように映りますので、「予約外も多く、予約も多い」といった状態は、全体的な患者満足度の低下につながります。

このため、患者数全体が増えてきた際は「単に再来を促す目的」等の日時を指定した予約は一部ストップして数を減らし、「当日の待ちやすさを順番予約で確保する」といった運用を取りますと、比較的スムーズな対応ができます。

3つ目の、検査・処置等が混在する点につきましては、特に順番予約におきまして「どのタイミングで番号を進めるか」という内容に関わって参ります。「先に検査」「処置の後に2回目の診察」など、診療動線がやや複雑化しやすくなるかと存じますが、あくまで待ち時間が出やすいのは一度に対応できる人数が少ない「ドクターによる診察」であるとしますならば、配布した番号はシンプルに「1回目の診察の順番」と考え、それ以外はイレギュラーとして「名前で呼んで割り込む」といった対応をすることで、待ちやすさを提供しやすくなります。

「小児科」のポイント

小児科様の場合「予約に関わるのは保護者であり、その多くはスマートフォンやインターネットに慣れた世代」でございますので、積極的にインターネットを活用する方向で運用を組み立てやすいかと存じます。予約方式に関わらず、インターネット予約の推進によって業務の効率化や待合室の混雑対策が比較的容易にできますので、既に予約システムを導入しているクリニック様も多いことでしょう。

一方、その手軽さから「キャンセルが発生しやすくなる」「順番予約で順番遅れが出やすい」など、スムーズな業務進行の妨げとなる行為も増えやすいため、ルール違反の抑止もまた重要な課題となって参ります。

まずは「iメッセージ」などのメッセージ機能を使いルールを明示すること、更に「プッシュ通知」によって定期的に注意喚起するといった方法が効果的かと存じます。

当日の順番を守ることで待ちやすさを提供する「順番予約」におきましては、順番遅れや直前キャンセルの発生は待ちやすさを阻害する行為となりますが、それは悪意や狡さから来るものよりも、順番を取る際に十分事情を理解できていないことから「うっかり」やってしまうことの方が多いものと存じます。従って事情の説明を十分に行うことが必要ですが、患者様が多く余裕の無い時ほどルールは荒れがちですので、予約システムのメッセージ機能により「最小限の労力で、広くルールを周知する方法」が効果を発揮いたします。予約前に注意喚起できる「iTICKETロボ」や、インターネット予約者に順番近くで自動的に電話をかける「オンライン受付者自動電話呼出機能」といったオプションの組み合わせも強力です。

全面的に時間帯予約を採用されているクリニック様のお話も伺いますが、お子様それぞれの診療行為にかかる時間が予測しにくいことを鑑みますと、患者様の人数がそれなりにいらっしゃる小児科クリニック様の一般外来では、順番予約の方が患者満足度を保ちつつ待合室の混雑を緩和しやすいことも多いかと存じます。

「耳鼻咽喉科」のポイント

元々、アイチケットの予約システムは耳鼻咽喉科クリニックの先生からいただいたご要望を元に「順番予約システム」として開発された経緯がございますので、「耳鼻咽喉科×順番予約」という組み合わせは折り紙付きでございます。「対応する患者様の人数が多い」「急性疾患の割合が多い」「1人当たりにかかる時間が短めで回転が速い」など、諸々の状況が当てはまるクリニック様には、強く順番予約をお勧めしております。

高齢の患者様が多いだけでなく、お子様を連れていらっしゃる保護者様も相当数おられることから「高齢者に配慮しつつ、利便性の高い環境」を目指すことになりがちですので、「インターネット経由での順番取り」ができるようにしつつ「インターネット受付は、窓口受付開始後しばらく経ってから時間差でスタート」といった運用と組み合わせるのが一般的です。

「皮膚科」のポイント

「来院する患者様の年齢層が幅広い」「患者数が多く、診察の回転も速い」という点が近いことから、多くの保険診療中心の皮膚科クリニック様では、耳鼻咽喉科クリニック様同様、一般外来に順番予約を当てはめるのがお勧めです。ただし、自由診療・自費診療に関しましては日時指定が基本とされることが一般的でございますので、双方の組み合わせから「順番予約と時間帯予約を併用する」といった状態になりがちです。

先述の「内科のポイント」でも触れました通り、順番予約と時間帯予約を併用する際は、順番予約側が「割り込まれた」と感じる部分をいかにケアするかが課題となります。別々の時間でそれぞれを対応することができればシンプルですが、同じ時間の中で並行して対応する場合は注意が必要です。

単純に人数を減らすことができればこれも話はシンプルですが、それなりに予約数を確保したいと希望されることもございます。その際はあらかじめ「空番(からばん)」によって先にいくつか番号を押さえておき、自費診療の予約が入る余地を広げておく運用をお勧めいたします。ただし、過剰な空番による調整は逆効果になりますので、クリニック様の状況を伺い総合的な判断の基にご提案をさせていただいております。

「眼科」のポイント

眼科様の場合、検査の種類が多く組み合わせがそれぞれ別になることなどから、診療動線が複雑になりがちです。このためシンプルな順番予約は向いていないとお考えの先生も多くいらっしゃるかと存じます。その際まず候補に挙がるのは「時間帯予約」でございましょう。

ただし、予約とは言っても患者数の多いクリニック様でそれぞれ個別の時間を確保するのは非常に大変です。これに対する1つの解決策としましては「1枠の時間を広めに取り、その中に複数人の予約を入れる方法(時間帯シェアタイプの時間帯予約)」がございます。一定時間の中で診療行為を完結させながら予約枠ごとに入れ替え制のような格好を取ることで、それぞれ個別に時間を確保するよりも多くの人数に対応することができ、状況を見ながら効率的に診療行為を進めることができます。

しかしながら時間帯予約である以上「時間枠ごとの上限」は存在しますので、患者数が多過ぎれば上手く対応できなくなることが予想されます。そこで、再度順番予約に注目するという考え方も出て参ります。

シンプルな解決策としましては、「診察に絞った順番予約」と考える方法がございます。全体の診療動線が複雑であっても、最終的に検査後の診察待ちがボトルネックになることは往々にしてございます。検査機器を増やせば全体の検査スピードは上がりますが、ドクターの人数を増やすことは簡単にはできませんので、このような状況であれば「診察の順番」と考えて順番予約を当てはめると、待ちやすさを改善することができます。ただし順番よりもかなり早いタイミングで検査が必要になるかもしれませんので、インターネットでの順番取りはあまり上手くいかないかもしれません。

もう1つの順番予約による可能性としましては、「検査室に入る順番」として考える方法がございます。「検査室以降は一連の流れに沿って進められる」「待合室の広さに対して来院する患者数が多すぎる」といった条件が重なるようでしたら、こちらがシンプルな解決策となり得ます。

「整形外科」のポイント

整形外科様の場合「診察とリハビリの兼ね合い」で、動線が複雑になりがちでございます。例えば順番予約において、診察もリハビリも希望する患者様が「リハビリ中に診察の順番が回って来てしまった」とすれば順番を飛ばさざるを得ませんが、止むを得ない事情ですので、リハビリ後は速やかに診察の列に割り込むことになるのが一般的です。このような対応が続けば局所的に順番の進みが遅くなったり速くなったりすることから、あまり効果的に順番予約が機能しないかもしれません。

また「診察・リハビリ」のそれぞれを、「順番予約」で対応するか、「時間帯予約」で対応するか、考え方はクリニック様により様々です。リハビリは時間帯予約で対応するクリニック様が多いようにも感じますが、患者様ごとに担当をあえて定めず、回転の良さを重視するクリニック様もいらっしゃいます。

不確定な要素が多い場合、可能性を考え始めると問題は複雑化しがちですが、核となる部分はシンプルであることも多くございます。例えば「リハビリは待たないが、診察は待つ」といった状況であればリハビリをスコープに入れず、診察待ちの環境に絞って考えることで、シンプルな解決策につながります。先ほど例として挙げました「リハビリ中に、診察の順番が来てしまった患者様の扱い」につきましても、例えば「朝並んだ患者様に多い」のであれば、「朝並んだ診察・リハビリ希望の患者様はイレギュラーと考え、あえて診察の番号を渡さない」といった方法が浮かびます。「割り込みが増える」ことに対しては、「空番で調整」といった別のアプローチをかけることもできます。

このように複雑に見える問題を100%解決できなくとも、要素を分解してシンプルにとらえる事から建設的な改善案がご提案できます。

それでは、まとめに参りましょう。

Summary(まとめ)

  • 内科のポイントは「高齢者への配慮」「予約と予約外の兼ね合い」「待ち時間の出やすい箇所の見極め」。
  • 小児科のポイントは「モラル低下に備えた、効率的なルール周知」。
  • 耳鼻咽喉科のポイントは「幅広い年齢層に備えた順番予約の運用」。
  • 皮膚科のポイントは「自費診療の混在を前提とした、一般外来患者の満足度ケア」。
  • 眼科のポイントは「対応人数の上限と、予約方式の選び方」。
  • 整形外科のポイントは「複雑化しがちな要素を、如何にシンプルに分解できるか」。

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