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「朝一に患者さんが並ぶ問題」は、解決できるのか否か。

~局所的な患者の集中による待ち行列の発生~

「できるだけ、すぐに導入したい。」

ありがたいことにデモの直後、こんな言い方をされることも増えて来ました。特に「感染症対策の一環で待合室の混雑を解消したい」という理由から、早急なシステム導入に到るクリニックが増えています。

導入に対する切迫感がある場合、既に「混雑している」あるいは「例年混雑していて、今年も患者さんが増えてきた」という背景が透けて見えます。そのようなクリニックではほとんどの場合「朝一が混雑する」というお話が挙がります。場合によっては「クリニックが開く前から行列ができてしまう」、「朝だけでなく午後一も混雑する」といった「局所的に集中して待ち行列ができてしまう」という現象に悩まされています。当然、行列ができれば待合室が一時的に溢れかえり、密になるから外出を希望され、許可したは良いが外出先から戻る目安もないから適当に戻ってきて、タイミングが悪いと一斉に集まって待合室が密になり、というような悪循環に苦心されている先生も多くいらっしゃいます。

~「いつ呼ばれるかわからない」という不安~

患者数が多いと局所的な行列は起こりがちですが、呼び出される状況がはっきりしないために「早く並んでおかないとどれくらいの時間がかかるかわからない、場合によっては1日つぶれるのではないか?」といったような患者側の待ち時間に対する不安が連鎖的に反応するのが原因です。いわば一時的なパニックが慢性的に続いている状態なので、朝の混雑する時間帯を抜けると急に空いてしまったりすることもあります。この波を分散化する必要があります。

問題を解決するためには、そもそもの発端に着目しなくてはいけません。今回のケースで言えば、「いつ呼ばれるかわからない」という課題に対して、有効な打ち手を考える必要があります。

真っ先に思いつくのは「呼び出す時間を約束する」という方法です。患者さんとしては約束の時間に呼ばれるので、それまでは自由に過ごせます。当然、朝並ぶ必要はなくなりますので行列は解消されます。これが日時を指定した【時間帯予約】により朝の行列を解決するという考え方です。ただし、この方法はほかの記事でも指摘した通り、約束が成立するならクリニック患者双方にとって良いのですが、クリニック側のキャパシティに対して予約の人数が多すぎると破綻します。従って既に混んでいるクリニックには向かないことが多く、無理に導入するとクレームや患者数の減少につながりかねません。

~順番予約を活用した、緩やかな分散化~

一方で、「いつ呼ばれるか分かれば良い」ということを「目安として分かる」というルーズさを含めて許容するのであれば、「今待っているのはどれくらいです」と定期的に患者さんに教えてあげることで解決の糸口が見えてきます。「誰が来るのかわからないのに、どうやって教えるのか」という疑問に答えるのが、待ち状況を不特定多数の患者に向けて表示できる「順番予約」の予約システムです。待ち状況をインターネットに公開し、患者さん自身が行動する手がかりを与えることに貢献します。混雑している時間を避け、空いている時間を狙って来院すれば、自由な時間を手に入れ、無駄に行列を作って待つ状態から解放されます。これが【順番予約】により朝の行列を解決するという考え方です。

順番予約のところで勘違いされやすいのですが、あくまで「早く並ぶことが必ずしも得ではない」ということを少しずつ周知して徐々に分散化を図るものであって、「朝早くからインターネットで順番を取らせる」ということではありません。

~診療予約システム ≠ オンライン予約システム~

そうなる理由は「患者さん全員が思った通りのルールでは動かない」ことに起因します。そもそもネット予約の事は知らずに来る人も居れば、知っていても苦手だからと変わらず朝並ぶ人もゼロにはなりません。仮にインターネットから順番を先に取らせてしまうならば朝並んだ人はネット予約の後に並ぶことになりますが、これがクレームや患者数の減少につながることは実際の患者さんの顔を思い出していただければ想像に難くないと思います。

かといって朝窓口に並んだ人をネット予約の間に割り込んで順番に関係なく呼び出せば、どんどん順番の目安が当てにならなくなっていきますので、やり過ぎは禁物です。結局のところ望むのは分散化ですから、並ぶ人数を減らすのが目的で、無理にゼロにする必要は無いのです。一部分の人が空いている時間を狙ってくれれば全体としては今より状況が良くなりますので、そこに期待することをお勧めします。

意外かもしれませんが、過去数年の予約データを集計・分析した結果から、アイチケットを長年活用しているクリニックでも【ネット予約の割合はおよそ30%】と、それほど高くないことがわかっています。実はこの結果、耳鼻科や皮膚科といった比較的ネット予約の利用率が高い科目を中心に絞り込んだもの。つまり内科や整形外科といった特に高齢者が多いクリニックを除外しても【70%程度の患者がネット予約を使わない状態】にも関わらず満足してご利用いただいていることになります。

~継続的な周知活動の重要性~

至極当然の話ですが、「新患ばかりだから、ルールを徹底させるのは無理」とか、「年寄りの患者ばかりだから、予約システムは役に立たない」とか、極端な表現を使うのは「それくらい強く感じる」という強調であって、実際に極端であることは稀です。言いたくなる気持ちもわかりますし、確かに言葉の通りであれば順番予約によって朝の行列も局所的な波も解消することはできないのでしょうが、新患の多いクリニックに再診の患者が一定数いることも、それが今後増加することも、当然あり得るお話です。お年寄りでもカラオケやATMの操作には抵抗がないとか、グループでSNSのやりとりができる程度にスマートフォンを使いこなせる方はそれなりにいます。システムそのものの扱いやすさも大事ですが、先入観を捨てて諦めず継続的に案内を続けることも大切です。

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