クリニック予約のヒント(8)新型コロナの5類引き下げに備える
クリニック予約の
疑問に答えるシリーズ
シリーズ「クリニック予約のヒント」では、予約システムに関する質問・疑問に対して端的に回答していきます。
8回目となる今回はこちら
Q:今後もしも、新型コロナウイルス感染症の分類が現在の2類相当から、季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げとなった場合、クリニックの患者数が一気に増加するかもしれません。どのような予約が効果的ですか?
では、参ります。
重要なのは混雑対策
「新型コロナウィルスが5類引き下げになるか、否か」あるいはその是非については、ここで触れることはございません。継続的な議論、専門家を交えた検討に基づき、時期に応じて具体的な方向性が示されることでありましょう。
重要なのは、「もしも、5類引き下げとなった際に、どのような対策を取るべきか?」について、あらかじめ備えておくことでございます。少なくとも「そうなった場合」には、多くのクリニック様におきまして「患者数の急増」、ひいては「さらなる混雑緩和対策」が必要となることでしょう。
システムによる患者の分散化
まず、「感染症対策」を目的として予約システムを活用する上で、考慮すべきは「患者の分散化」でございます。「待合室の混雑緩和」、それから「受付待ち列の解消」といった言い換えもできるでしょうか。
シンプルに考えるのであれば、分散化に適しているのは「時間帯予約」の活用です。
患者様それぞれに個別時間を決めて対応することができれば、分散化を図ることができるはずですので、まずは「1人1つの予約枠」を割り当てる場合について考えてみましょう。
1人1枠の日時予約で解決するか、否か
1人1枠、患者様ごとに個別時間を決めて対応することができれば、確かに分散化は可能でございましょう。しかし、クリニック様におきましては1人当たりにかかる時間が一定ではないことも多い、というより、一定ではない方が普通でございます。
そのような状況下で日時を決めた予約を活用するとなれば、予約の時間はどのように決めれば宜しいのでしょうか?
もしも、「時間を守る」という約束の基本的な部分を大事にお考えいただくのであれば、1枠の長さは「長くかかる時間」を基準にする必要がございます。「早ければ、このくらいで終わる」といった「最短の時間」で1枠の長さを決めてしまえば、結果として、予約の患者様をかなり待たせることになるでしょう。
新型コロナウィルスが流行し始めた頃であれば、全体の患者数が少ないクリニック様も多くございましたので、1人1枠で予約を取っても、大きな問題にはならなかったかもしれません。しかし、今考えているのは「患者様が急増した場合」でございます。恐らくこの方法では、すべての患者様に対応することが難しいのではないかと考えております。
1枠に複数人の時間帯予約では?
「日時を決めた予約」≒「時間帯予約」の活用を考えた際、1人1枠以外の選択肢も、もちろんございます。1枠に複数人の予約を入れることで、かかる時間の前後を、微調整しながら運用することも可能ではございます。
ただし、それにも限度がございます。
時間帯予約では、あらかじめ決めた長さの時間枠に、決めた人数を割り当てることになります。機械的に割り振られた予約枠の中に上限人数を決めて予約を入れていくことになりますので、例え複数人の予約を1枠に入れたとしても、時間の前後を想定に入れなければ、「予約をしたのに、待つ」しかも「いつまで待てば良いかわからない」ということになりかねません。これは、多少都合がつけやすくなった程度の話で、1人1枠の時と同様の構造上の問題を抱えております。
端的に申し上げるならば「患者数の多いクリニック様」におきまして、「時間帯予約により、分散化と効率的な業務運用を同時に実現するのは難しい」ということでございます。「難しい」と申しましたのは、1人に係る時間がほぼ一定のクリニック様や、一定数以上の患者様は断固として受け入れを断るといった「特殊な」ケースを想定してのことでございますので、通常のクリニック様では「不可能」とお考えいただく方が、ニュアンスとしては近いかと存じます。
順番予約のご提案
「患者数の急増」を前提と致しますならば、私からのご提案としては、ほぼ迷わず一択で「順番予約の導入」をお勧めいたします。
順番予約では、患者様それぞれにかかる時間の前後を考慮する必要がございません。それはつまり、無駄な時間が発生しにくい、効率的な業務運用が可能となることを意味します。
また、システムを入れず、何も対策を取らない状態では、当然待合室は「あっという間」に密な空間になり果ててしまうことでございましょうが、予約システムによる「順番予約」が導入されていれば、すぐに呼ばれない患者様には一旦外に出てもらい、呼ばれそうになった頃合いを見計らって戻ってもらうことができます。
しかも、順番予約は事前に特別な準備が必要ありません。当日番号券を渡し、順番に呼ぶ行為を繰り返していれば、待合室が自ずと混雑から解放されるのでございます。
そもそも、順番予約とは、、
おや、失礼いたしました。また、お話が長くなるところでございました。
順番予約につきましては、ウェビナーの動画や電子書籍などをご参照いただくのが宜しいかもしれません。本日は、これ以上の詳細につきましては省略させていただき、まとめに参りましょう。
Summary(まとめ)
- 患者数の急増に備えるために、患者の分散化を考慮しておくことが重要。
- 一般論として、分散化には時間帯予約が効果的。
- しかし、「患者数が多いクリニック」という前提では、時間帯予約で分散化と業務効率の課題を同時に解決しにくい。
- 1人1枠の場合も、複数人1枠の場合も、程度の差こそあれ、構造的に「急激に増加した患者」に対応するのは難しい。
- 患者数が増えたクリニックでは、順番予約による待合室の混雑緩和が最適。
- 順番予約は、事前に準備が不要で、導入しやすい。