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時間帯予約のトリセツ②~CASE1.時間帯占有タイプの場合~

~前回までのおさらい~

前回から始まりました「時間帯予約のトリセツ」シリーズ、2回目となる今回は<時間帯占有タイプ>として分類した時間帯予約について取り上げてみたいと思います。

時間帯予約の分類に関してはシリーズ1回目で取り上げていますので、未読の方はそちらもご覧ください。

⇒シリーズ第1回 時間帯予約のトリセツ①~導入目的と4タイプへの分類~

その中で、<時間帯占有タイプ>の時間帯予約とは以下のようなものだと説明しました。

<時間帯占有タイプ>
1枠1人への診療行為を前提とした予約の取り方。10分~15分程度の小分けになった時間で組みたてることが多い。明確に日時を指定した「日時指定予約」と、考え方はほぼ同じ。

~<時間帯占有タイプ>スポット的な予約の活用~

<時間帯占有タイプ>を使っている場面でイメージしやすいのは、「慢性疾患なので帰り際に次回の予約を取ってもらう」といったシチュエーションだと思います。つまり「一部分の患者に対して用意された、スポット的な予約枠」です。

<時間帯占有タイプ>の場合、運用上は「予約」と「予約外」がセットになるのが一般的です。これは、「1人あたりの時間が一定になりにくい」というクリニック・診療所の事情を踏まえると、「予約せずに来院した直来患者含め、全体を予約枠に当てはめて管理する」という運用がやりにくいためです。「長くてもこのくらい」という上限に合わせて1枠あたりの時間を長めに設定すれば約束は守れるかもしれませんが、対応できる人数が極端に少なくなってしまいます。逆に「頑張れば可能」という下限に合わせて短めに設定すれば、約束自体が破綻しやすくなります。「1人あたりの時間が一定」という場合は成立しますが、それ自体クリニック・診療所としては特殊な状況と言って良いでしょう。

~<時間帯占有タイプ>予約外患者の扱い~

運用上<時間帯占有タイプ>は、「予約」と「予約外」のセットになりますが、効果を発揮するのは「予約患者」に対してのみで、「予約外の患者」に対しては何も効果を発揮しません。「待ち時間を快適に過ごす」といったテーマで考えるのであれば「予約外患者」のケアも考えることが重要になってきますので、その際は<順番予約>を組み合わせて「予約外患者」に当てはめるような工夫が必要となります。「<時間帯予約>と<順番予約>の併用」や「予約優先制」などと言われる方法がまさにこの形で、<時間帯占有タイプ>の場合「他の予約方式と組み合わせる」という状況がセットになりやすいと言えます。

注意しなければならないのは、<順番予約>と組み合わせていた場合「<時間帯占有タイプ>の予約患者は、約束した時間に優先的に案内する必要がある」ということです。つまり、<順番予約>の次の番号の人は待たせておいて、<時間帯占有タイプ>の予約患者を優先します。<時間帯占有タイプ>では「1枠あたりの時間が短いため、時間がずれ込むと後で巻き返しにくい」こと、「そもそも時間を約束しているので、約束した時間になった時点で自分が優先されると予約患者が考えやすい」ことから、自然と優先度が上がります。

一方で、<順番予約>に当てはめた「予約外患者」から見ると、<時間帯占有タイプ>の「予約患者」が割り込んだように見えますので、この点も注意が必要です。特に「予約患者」が続くと「<順番予約>の番号が一向に進まない」ということになりかねませんので、患者からの不満が上がるようであれば、予約の取り方そのものを再度見直す必要があるかもしれません。

~<時間帯占有タイプ>様々なシチュエーション

<時間帯占有タイプ>を活用しているシチュエーションを他にも考えてみると、「対応するスタッフや検査機器の都合上、重複しないように予約を取らなければならない」という状況があります。この時、大抵は「事前の準備が必要」であることから、前日以前などの「事前予約」と「重複しないように時間を占有した予約」との組み合わせで<時間帯占有タイプ>の予約が使われます。一部の検査や専門外来などが該当すると思いますが、通常の診察時間とは分けて対応することも多い内容ですので、「予約外」との兼ね合いを並行して考える状況に比べれば、迷うことは少ないかもしれません。

また、「新患のインターネット予約を比較的空いている時間帯に集中させる」といった<時間帯占有タイプ>の使い方もあります。新患は対応に時間がかかるため、混雑する時間を避けてあえて対応しやすい時間帯に集め、密を避ける考え方です。これは「ゆるやかな分散化」ともいうべき方法で、当然インターネットを経由しない新患は予約外の直来患者になることもありますので、全体で見ると「患者の来院タイミングを制御する」という程の強制力はありませんが、部分的なコントロールが良いバランスを保ってくれることもありますので、「新患を分散化させたい」という場合などは効果を発揮するかもしれません。

~<時間帯占有タイプ>来院タイミング~

ところで、<時間帯予約>には【xx時~yy時】という「時間の幅」が持たされていますが、クリニックから患者に対しては「いつ来るように」案内をするべきでしょうか?

1.予約の開始時間(xx時まで)に来る。
2.予約の開始時間から終了時間(xx時~yy時まで)の間に来る。

考え方としては2つのうち、どちらでしょうか?

~<時間帯占有タイプ>イレギュラーの注意点~

前者の「予約の開始時間(xx時まで)に来る」場合は、「約束した時間帯」が「診療行為をおこなう時間帯」として暗に示されます。後者の「予約の開始時間から終了時間(xx時~yy時まで)の間に来る」場合は、「約束した時間帯」が「患者の来院時間」となることから、「実際の診療行為はその時間内では収まらない」可能性を示します。つまり、前者の「予約の開始時間(xx時まで)に来る」という運用の方が、より一般的です。

しかし、実際の運用を見る限り

・時間のかかる検査・処置で終わりの時間が読みにくい。
・前後の予約枠と間隔が空いているなど、かかる時間のずれがあまり影響しない。

といった場合は、後者の「予約の開始時間から終了時間(xx時~yy時まで)の間に来る」という運用もあり得ます。<時間帯占有タイプ>は基本的にスポット予約なので、他との兼ね合いがつく状況であれば来院タイミングを厳密にする必要がないため、どちらも状況によっては成立し得るのです。

ただし後者の場合には追加で注意点がいくつかあります。

・予約枠が連続する場合は患者同士が重なる時間が出やすくなるので、できるだけ連続しないように間隔をあける。
・来院した後に長時間待たされると不満が出やすいので、診療行為が完了するまでに時間がかかる場合は、こまめに声がけなど実施する。
・患者側に「来院時間の約束であって、終了時間は未定」であることを明確に説明し、誤解が無いようにしておく。

いずれの場合も患者さんが迷わないように、予約の案内は明確にしてあげる必要があります。

~<時間帯占有タイプ>極端に患者数が少ない場合~

さて、はじめの方で

<時間帯占有タイプ>の場合、運用上は「予約」と「予約外」がセットになるのが一般的です。これは、「1人あたりの時間が一定になりにくい」というクリニック・診療所の事情を踏まえると、「予約せずに来院した直来患者含め、全体を予約枠に当てはめて管理する」という運用がやりにくいためです。「長くてもこのくらい」という上限に合わせて1枠あたりの時間を長めに設定すれば約束は守れるかもしれませんが、対応できる人数が極端に少なくなってしまいます。

という書き方をしましたが、例えば「新型コロナウィルスの影響によって患者数が著しく減少している」「コロナ禍で新規開業をして間もないことから、まだ患者数が少ない」という状況では、この限りではありません。1枠あたりの時間設定をやや長めに設定しておき、予約外の患者も「予約枠に当てはめる」というスタンスでいけば、「入口から出口まで」患者の動きをコントロールすることが可能となり、密の回避・来院患者の分散化を強力に推し進めることができます。

気を付けるべきポイントとしては、「あくまで一時的な、患者数の減少」であることを踏まえると、患者数が増えてきた時点で運用を変える必要があるという点です。患者数が多くなれば<時間帯占有タイプ>を使った「完全予約制」のような状況は維持しにくくなりますので、<時間帯シェアタイプ>など別のタイプの時間帯予約を検討するか、<順番予約>に切り替える必要があります。

以上で<時間帯占有タイプ>の解説は一旦終了し、次回は<時間帯シェアタイプ>の解説に入ります。

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