BLOG

導入を検討している
先生、並びにスタッフの皆様へ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 予約システムの使い方
  4. クリニック予約のヒント(18)眼科クリニックに予約システム

クリニック予約のヒント(18)眼科クリニックに予約システム

クリニック予約の
疑問に答えるシリーズ

シリーズ「クリニック予約のヒント」では、予約システムに関する質問・疑問に対して端的に回答していきます。

【18回目】となる今回はこちら

Q:眼科のクリニックですが、検査の種類が多く患者さんによって検査内容も異なるので、順番に呼んでいません。患者数も多く、予約制にもしたくありません。このような状況では順番予約も時間帯予約も難しいでしょうか?

では、参ります。

何から改善するか

今回の内容は「眼科」という特定の科目に寄ったお話になりますが、眼科のクリニック様からいただくご相談内容としては非常にポピュラーなものでございます。

しかしながら、現状このような状況で「待ち時間を解消したい」といった課題を100%解決できるシステムは、私の知る限り1つもございません。これは「アイチケットの予約システム」も含め、世の中に数多く出回っている「予約システム」すべてを含めたお話です。

もちろん「まったく何もできない」訳ではございませんので、プロモーション活動において「眼科のクリニックに最適な予約システム」などと謳っているメーカーの言葉全てが嘘や間違いとは申しません。しかし、フタを開けてみれば「単純に時間帯予約が成立することを前提にしているシステム」、あるいは「呼び出す番号を好きなように並べ替えて表示できる順番予約システム」を、言い換えただけのシステムであることがほとんどです。

時間帯予約は約束を守ることを前提にすれば、患者数に強めの制限をかけることになります。順番予約の呼出番号を好きに並べ替えてしまえば、「患者さんがどれくらい待てば良いか」の目安が分かりにくくなります。それらすべてが悪いとは申しませんが、本来の目的からかけ離れた対応をしても望むように状況は改善いたしません。

今回はお問い合わせに明示されておりませんが、予約システム検討の動機は「待合室の混雑を解消したい」あるいは、そのような状況に紐づく「待ち時間に対する問い合わせや不満を減らしたい」といった内容が多いので、「待ち時間に対する患者さんからの問い合わせ削減」に対するお話を、いくつかさせていただきたいと思います。

時間帯予約による混雑回避

まず1つは時間帯予約による混雑回避のご提案がございます。もちろん、お問い合わせに「予約制にしたくない」といった内容が含まれることは盛り込んだ上での、1つのご提案でございます。

今回は、予約制にしたくない理由として「患者数も多い」というお話が出ております。恐らくその中には「予約の管理に割くスタッフ側の余裕が無い」といったニュアンスや、「当日、飛び込みで来る患者の対応を考えると、予約制にはできない」といったニュアンスが含まれるかもしれません。

前者であれば、「システムによる効率化」の部分を是非ご理解ください。「システムを導入すると入力作業が増える」などと言われることがまだまだございますが、「入力作業と引き換えに、検索の効率が上がる」などといったトレードオフがそこには存在します。また、入力作業が一部不要になる「自動入力」のような機能も、場合によってはご利用いただけます。従いまして、この点はシステムの実物を見ながらまずは説明を聞いていただいた方が、正しい判断につながることと存じます。

後者については、「予約」という概念の解釈次第の事もございます。予約台帳に「当日の飛び込み患者も含めて記載する」と言えば伝わりますでしょうか。「当日予約」などと表現する事もございますが、その場に来た時点で空いている予約枠に割り当てれば、当日の飛び込み患者も日時を決めた「時間帯予約」に含めることができます。

時間帯予約とは、簡単な言い方をすれば「決めた日時に決めた人数を割り当てる」方法の事でございます。

日時枠1枠分の割り当てを1人だけにすれば、対応時間が前後した時に約束が守れなくなりがちでございます。1日に対応したい患者数から逆算すれば、1人当たりの時間も短くなりがちでございましょう。1人にかかる時間が一定に近ければ問題ありませんが、クリニック様、特に患者様により検査内容が異なる眼科様であれば、あまりお薦めはできません。

おすすめなのは、1枠30分程度の時間に、多少前後することも盛り込んだ複数人の人数を設定することでございます。この方法は時間の前後もそうですが、順番の前後も比較的自由にできるので、眼科様の場合は特にお薦めです。「順番に呼ばない」という状況にはピッタリでございます。

待ち時間に対する不満の目安は、統計データ等から「30分を越えると急に不満が高まる」と言われております。逆手に取れば、30分以内で待たせずに対応できるのであれば、効率重視で順番を入れ替えても不満は出にくいものと思われます。

ただし、30分を越えても「検査が進んでいる」「お声がけが定期的にされている」といった状況では、不満が高まりにくいものと思われますので、そのあたりの対応を加味した上で、1枠の時間を延ばすことは大きな問題にはならないかと存じます。

時間帯予約を導入するか否かの最大のポイントは、「人数の制限が強め」という点に対する考え方でございます。

1枠30分にしても40分にしても、「時間当たりに対応する人数を制限することで、混雑を回避する」という根本は変わりません。当然、積み重ねれば全体の対応人数も制限されることになります。

この点が問題無ければ、「システム導入による効率化がどれくらいできるのか」と併せてご検討されると、混雑の解消はかなりの部分できるものと存じます。

順番予約による混雑回避

2つ目は、順番予約による混雑回避です。こちらも、もちろん「患者さんによって検査内容も異なるので、順番に呼んでいない」という内容が含まれることは盛り込んだ上でのご提案でございます。

ここで「順番ではない」というお話を伺い、2つ気になる事がございます。

  1. 検査が順番ではないとしても、順番に呼ぶポイントは無いのか?
  2. 混雑しているポイントは、何を待っている患者さんが多いのか?

1点目につきまして、よくあるお話としましては「検査は順番ではないけれども、診察は概ね順番に呼んでいる」というケースです。もちろん「散瞳検査など、かなりの時間が検査にかかる場合を除き」ではありますが、診察だけをピックアップすると割と順番に呼ばれているクリニック様は多くございます。

また、「検査それぞれはバラバラに呼んでいても、検査室に呼び込むのは割と順番」といったケースもございます。これはかなり患者数が多いクリニック様に多いかもしれませんが、検査室の中がいっぱいになってしまうので「中に入れる部分は順番に近い」といったクリニック様もございます。

「すべてが全くバラバラだ」という場合は、順番予約は諦めた方が宜しいかと存じます。しかし、そのようなケースはむしろ稀です。

2点目の「混雑しているポイント」を把握することも重要でございます。こちらもよくあるお話としては、「検査は呼ぶ順番がバラバラだけれども、診察で待つことがほとんどで、検査で待つことはあまり無い」といった場合は検査待ちを考えずに、診察待ちの部分を優先的に考えることで、選択肢が広がります。

これら2つの、「順番になるポイント」と「混雑するポイント」の2つが重なる部分が多少なりともございましたら、そこに順番予約を当て込み「一旦外出させて、順番が近づいたら戻ってくる」といった手法で、混雑の解消を狙うことが可能となります。

特に順番予約は考え方もシンプルで、操作の手間も少ないため、「今の運用をあまり変えたくない」というクリニック様にはかなりお勧めできます。

活用できる状況が限られるとは言え、アイチケットの眼科ユーザー様でご利用が多いのは「順番予約」の方が優勢であることを考えると、ご検討いただく余地は多いものと存じます。

課題の分割

冒頭で申し上げたように、現在オールインワンで簡単に眼科様の課題を解決できるようなシステムは私の知る限りございません。しかもトリッキーな手法は分かりにくい運用になりがちですので、患者様を対象にした「待ち状況の改善」といったお話と、相性があまり宜しくありません。

正攻法で考えた場合「何が一番の問題か?」に向き合い、「制約条件を崩せないか?」と考えてみることが重要です。

・「順番に呼ばないから順番予約は無理」ではなく、「順番に呼ぶポイントがあれば順番予約を活用することができるかもしれない」。
・「人数が多いから予約制は無理」ではなく、「システムで効率化できれば時間帯予約を活用できるかもしれない」。

といった柔軟な発想で解決の糸口が見つかりさえすれば、システム自体はシンプルな方がむしろ扱いやすいものと私は考えております。

それでは、まとめに参りましょう。

Summary(まとめ)

  • まずは、何を解決したいのかを明確にする。
  • 時間帯予約では、順番を入れ替えても対応できるので、順番に呼べない眼科様には特にお勧め。
  • 時間帯予約は人数の制限が強くなるため、その点は注意が必要。
  • 順番になる部分が見つかれば、順番予約を適用することも可能。
  • 順番になっている部分が待ち時間の発生ポイントと重なるならば、効果は高い。
  • 極端に考えず、課題を分割して考えることで、解決の糸口が見つかる場合も多い。

関連記事