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事例の研究(1)他社の順番予約システムからアイチケットに移行

導入環境の概要

予約方式

順番予約

オンライン受付

診療開始30分後~診療終了30分前まで実施

院内モニター

iTICKET TVで映像+待ち状況を表示

番号券・予約票

順番の番号券を発行

電子カルテ連携

連携しない

受付端末の種類

アイチケットのレンタルiPadを使用

受付以外の設置機器

診察室に呼び出し用のiPad(元々保持していたWIFI専用端末を流用)

はじめに

シリーズ【事例の研究】では、実際にあった導入・運用事例を取り上げながら、予約システムについて考えていきます。

プライバシー配慮の観点から基本的にクリニック名は伏せつつも、可能な限り詳細な情報を提供し、これからの予約システム導入検討や運用構築の参考にしていただけるよう努めて参ります。

1回目に取り上げるのは、他社の順番予約システムをからアイチケットの予約システムに変更されたクリニック様です。

システム入れ替えに伴う変更点

システム自体は変更となりましたが、基本的な予約方式は【順番予約】であり、運用自体はそれまでのやり方を大きく変えていません。

変わったのは、

  • それまで実施していなかった「番号券の発行」を始めたこと。
  • 電子カルテとの連携をやめた事で、患者様に向けた番号表示の意味が変わり、待ちやすさが改善されたこと。
  • 窓口でスタッフが操作する手間が削減されたこと。
  • 受付の操作端末を電子カルテのパソコンから、アイチケットのレンタルiPadに変更したこと。

などが挙げられます。

予約方式

予約方式は【順番予約】です。順番予約は完全予約制ではない多くのクリニック様にとって、運用の流れを大きく変えずに、待合室の混雑緩和や、待ち時間に対する患者満足度の向上などが見込める予約方式です。

ただし、同じ【順番予約】を謳っていても、システムによってその操作性はかなり異なります。特に、オンライン受付をせず窓口に患者様が直接来た場合に【患者情報の登録を必要とするシステム/必要としないシステム】の大きく2つに分かれます。これは、スタッフ様の操作性、業務効率に大きく影響します。

今回、変更する前のシステムでは、直接来た患者様の患者登録が必要でした。

ちなみにオンライン受付の場合、オンラインで患者様が入力した情報を使ってシステムに患者情報を登録をすることは容易で、どのシステムでもほとんど同じような作りになっています。注目すべきなのは「オンライン受付以外」の対応です。

オンライン受付導入前のクリニック様は勘違いしやすい所ですが、システムを導入しても簡単にオンライン受付の利用率が高まる訳ではありません。コロナ禍以降、比較的オンライン受付が患者様に求められるようになったとは言え、利用率を高めるためには、患者様に対する案内を積極的に進める必要があります。

その上、お年寄りの患者様の中には、インターネットを使って順番や予約を取ることが、スキルとして難しい患者様も一定数いらっしゃいます。今回のクリニック様でも窓口に直接来る患者様は、お年寄り中心に多くいらっしゃいました。

アイチケットの予約システムでは、直接来院された患者様の情報を、受付時点で登録する必要がありません。

例えば患者様が一時的に受付に集中するようなことがあっても、スムーズに対応ができます。今回も、受付操作にかかる手間が大幅に削減され、受付のスタッフ様に大変お喜びいただけました。

オンライン受付

「オンライン受付」は以前のシステムでも対応しておりましたが、今回は特に、患者様側の予約画面の使いやすさをご評価いただきました。

先程の繰り返しになりますが、「オンライン受付ができるシステム」を導入しただけでは、オンライン受付の利用率は高まりません。オンライン受付を推奨する活動が重要です。

しかし、スタッフ様が熱心にオンライン受付の案内をしてくださっても、患者様から見た操作画面が分かりやすくなければ、結果として利用率はなかなか高まりません。

この点についてもクリニック様としては課題を感じておられたようで、見た目の評価も重視してアイチケットをお選びいただけたとのことです。

ちなみに、オンライン受付の開始時間を窓口受付と30分ずらしているのは「インターネット利用が苦手なお年寄りや、急ぐ方のために窓口優先の時間を設ける」ため、オンライン受付終了が30分早いのは「ギリギリにオンラインで順番を取って、診察終了時間に間に合わないという事態を避ける」ため、です。

番号券の配布

これまで、番号券の配布はしておりませんでした。

番号券は、主にオンライン受付をせず直接来院した患者様に、自身の番号を明確にお伝えすることを目的としています。

番号券とセットになるのが、院内モニターによる待ち状況の表示です。「何番まで進んだか?」「何人待ちか?」といった患者様の疑問に応えるべく、「現在番号」や「現在の待ち人数」といった情報をモニターで表示します。番号券と院内モニターの表示は対になるもので、片方欠けると効果が激減します。

実は、こちらのクリニック様では元々モニター表示はされておりましたが番号券を配っていなかったので、十分な効果を発揮できていませんでした。

システムを変更して番号券の配布とモニター表示を組み合わせたことにより、より一層効果的に患者様に待ち状況を伝えることができるようになりました。

また待ち状況だけでなく、クリニック様からのお知らせを含むサイネージ機能もご利用いただき、患者様の院内での待ち時間をより有意義なものに変えられました。

電子カルテ連携

実は、システム変更時にクリニック様が心配されておられたことの1つに、「使用している電子カルテが、アイチケットの予約システムと連携できない」というお話がありました。それまで使っていた予約システムでは連携ができたので、「できているものが、できなくなる」という点に、不安を感じておられました。

実際我々としても、状況を見て「連携する/しない」はさておき、「できる/できない」であれば、「連携できる」方がご提案しやすいのが本音です。しかし今回は、「連携できない」という条件の中でご提案をさせていただく以外に道がありませんでした。正直、苦しい立場です。

我々はご提案の可能性を探りつつも、連携できないことでクリニック様に不利益が発生しないか、十分注意して臨みました。しかし、詳しくお話を聞くとむしろ「連携していることで不利益が発生している」と言えるような状況であることが分かりました。

1つは、前システムが前提とする窓口受付の運用に関わる部分です。

先述の通り、前システムは直接来院された患者様の患者登録を必要とするシステムであり、それを補うために電子カルテと連携していました。しかし、新患の場合は登録された情報が無いため、電子カルテの登録を先にしなければなりません。また、連携するとは言え、毎回患者検索をかけて登録処理をするのは無駄が多く、効率的ではありませんでした。

アイチケットの場合、直接来院された患者様が新患であろうと再診であろうと、先に登録する必要はありません。電子カルテと連携しなくとも、より効率的に運用することが可能です。

2つ目は、待ち状況表示に関わる部分です。

前の予約システムでは、電子カルテの受付順に振られる番号と、待ち状況表示として出される「現在番号」を連携により一致させていました。この点に関しては「一致していた方が良い」と思われる方も多いのですが、実は順番予約的にはあまり良く無いのです。

順番予約というのは、「およその順番を見える化して、イライラせずに待つ」事を目的にしたシステムです。ポイントは「およその」という部分で、実際に診察を進める中で「完全に全員を順番に呼べる」などということは、まずありません。順番ではないところは、システムと関係なく名前で呼ぶなどのイレギュラー対応を取ることが一般的です。

これは、順番に呼べないところで真の「現在番号」を表示してしまうと、「番号が急に進んだり戻ったりする瞬間が出る」ということを意味します。連携による番号の一致が、「順番のつもり」で待っている患者様に余計な情報を与えることになり、混乱や不安を招いてしまいます。

こちらのクリニック様でも実際に患者様から「待ち状況の表示が分かりにくい」というお話が度々あがっていたようです。

電子カルテと連携しない方が現状の課題解決に近づくことがわかりましたので、今回は自信を持ってご提案させていただき、採用していただくに至りました。

レンタル端末と機器サポート

前システムでは、保守対応の部分もあまり満足されておられない様子でした。

現存する予約システムにおいて、使用する機器が「絶対に壊れない」ということはありません。コスト面からしても、汎用的なパソコンやタブレット端末を流用するので、定期的に修理や交換といったメンテナンスをすることがシステム利用の前提となります。

ちなみに、パソコンは過熱を防ぐために起動時はFANを使って空気の出し入れを常におこなっています。FAN周りを中心に、定期的に埃を吸い取るなどメンテナンスをしないと割と簡単に壊れます。会計処理上は耐用年数4年(サーバーなら5年)などと定められていますが、もっと早く壊れることもあります。

また物理的では無く、ソフトウェア上の不調もあります。前予約システムでは電子カルテの端末を予約システムにも流用していましたが、ネットワークやアプリケーションの不具合が発生した際に、関連する要素が多いことで、原因の切り分けが難しい状況になっていました。

アイチケットではタブレット端末(iPad)のレンタルを推奨しています。レンタルには故障時の修理・交換保証が含まれています。携帯電話の回線も含まれているので、ネットワーク構成もシンプルに使えます。今回も、受付で使うメイン端末にはレンタル品のiPadをご利用いただきました。

もちろん「iPadだから壊れない」という事はありません。ただしパソコンとは違い、掃除などのメンテナンスは簡単です。壊れた時の物理的な交換作業の楽さも、パソコンとは比較になりません。アイチケットでは、長年システムをご利用いただく中で、機器が壊れることも前提に盛り込み、カスタマーセンター中心にサポート体制を構築しています。

ただし、レンタル端末の維持にはコストもかかりますので、【安心を取る/コストを優先する】といったバランスはご考慮いただけます。今回も番号を進めるための「呼出端末」は、元々以前購入された回線のついていないWIFI専用iPadを使うことにされました。

今回のシステム乗り換えに関しましては、これらのサポート体制も含めご評価いただけたものと考えております。

おわりに

今回のケースでは基本的にこれまでの運用を踏襲しつつ、別のシステムを使う中で徐々に見えて来たクリニック様の課題を、うまく解決することができました。それぞれのクリニック様によって事情は異なりますが、部分的にでも参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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