BLOG

導入を検討している
先生、並びにスタッフの皆様へ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 予約システムの使い方
  4. 事例の研究(4)【順番予約】と【時間帯予約】を、並べて走らせる。

事例の研究(4)【順番予約】と【時間帯予約】を、並べて走らせる。

導入環境の概要

予約方式

事前に予約を希望した方は時間帯予約(6人/30分)
予約せずに来院した方は順番予約(当日限定)

番号券・予約票

順番予約:番号券を配布
時間帯予約:窓口で予約した際の予約票を配布(番号券配布なし)

オンライン予約

順番予約:診察当日の窓口受付開始30分後~診察終了時間まで
時間帯予約:前日の窓口受付開始時間~枠終了30分前(オンラインからのキャンセル可)

院内モニター・待ち状況表示

順番予約・時間帯予約ともに待ち状況を表示

はじめに

シリーズ【事例の研究】では、実際にあった導入・運用事例を取り上げながら、予約システムについて考えていきます。

プライバシー配慮の観点から基本的にクリニック名は伏せつつも、可能な限り詳細な情報を提供し、これからの予約システム導入検討や運用構築の参考にしていただけるよう努めて参ります。

4回目に取り上げるのは、アイチケットの【順番予約】の運用から【時間帯予約】中心の運用に変更し、【時間帯予約】中心にしつつも予約が取れなかった患者様に【順番予約】を適用されているクリニック様の事例です。

概要

こちらのクリニック様は、元々【順番予約】を中心とした運用をされていましたが、コロナ禍における「待合室の混雑解消」を目的として【時間帯予約】中心の運用に変更されました。

実は、【時間帯予約】に変更した背景には、お年寄りの患者様中心に「事前に予約が取れるようにして欲しい」というご要望が複数挙がっていたことも影響しています。

【順番予約】でお年寄りに配慮する際は「窓口受付時間よりも、オンライン受付の開始時間を遅くする」といった運用が多く採用されます。こちらのクリニック様でもお年寄りに配慮すべく時間差を設けていましたが、リピート率の高いお年寄りの患者様を更に優先することを考えた結果、帰り際の窓口や電話でも予約を受けやすい【時間帯予約】を採用することになりました。予約の受付時間に関しても、オンライン受付は前日からの開始となりますが、窓口での受付は帰り際に次回の予約を受けるなど、より柔軟に対応しています。

ただし、時間によっては【時間帯予約】では来院希望の患者数が多く予約が取れないこともあり、その際の救済措置として当日は【順番予約】を併用するという、ややトリッキーな運用となっております。

予約方式

【時間帯予約】と【順番予約】を併用していますが、あくまで中心となるのは【時間帯予約】の運用です。従って、【時間帯予約】と【順番予約】がバッティングした際は【時間帯予約】の患者様から優先的に診察していきます。

【時間帯予約】側では、最大「30分で6人分」の予約枠を用意していますが、平均すると先生の診察スピードは1人当たり3分程です。当然患者様によって時間が前後することはありますが、30分であればおよそ10人の診察が可能です。つまり、実質差分となる「4人分の時間」で、【順番予約】の患者様を対応することになります。

例えば10時から10時半の時間帯で予約枠がすべて埋まった状態、更に当日直来の患者様も居た場合、通常であれば10時からは【時間帯予約】の患者様6人を先に対応し、その後におよそ4人分【順番予約】の患者様を対応します。

ただし、1人あたりの時間が前後することまで含めると、このままでは【順番予約】の患者様は、どれくらい待つことになるかわかりにくいので、待ち時間が長くなるにつれてクレームを誘発する可能性も高くなります。そこで、こちらのクリニック様では、先生が受付時間をチェックし、待ち時間が長い【順番予約】の患者様がいる場合は、通常とは逆に【順番予約】の患者様を【時間帯予約】よりも先に診察するといった対応もしています。

「患者様の不満を爆発させない」ことを最優先し、状況に応じて柔軟に対応を変えることで、ともすれば危うい「【順番予約】と【時間帯予約】の併用」という運用がうまく成立しています。

ただし、全体的に患者数が多い状況では、【順番予約】の患者様が長時間待っていることが分かっても【時間帯予約】の患者様を優先せざるを得ないため、クレームが発生することもあるようです。しかしながら、その頻度は院長先生が想定している範囲内に収まっているため「引き続き現状の運用を継続する」と、判断されています。

番号券・予約票

当日の【順番予約】の方には「番号券」を渡し、【時間帯予約】を帰り際の窓口で取った方には予約日時の記載された「予約票」を渡しています。ちなみに【時間帯予約】の患者様には、番号券を渡していません。

繰り返しになりますが、こちらのクリニック様では中心となるのが【時間帯予約】ですので、【順番予約】の「番号券」をもらっても、待つための目安としてそれが強力に機能することはありません。しかしながら、少なくとも順番に対応を進めていることは伝わりますので、患者様にとって一つの安心材料となっているようです。

オンライン予約

当日の【順番予約】は、元々の運用をそのまま流用する形でオンライン予約は「窓口受付開始30分後~」という設定にしています。また、【時間帯予約】も「高齢者への配慮」という観点が先に立っていますので、オンライン予約は「前日の窓口受付開始時間~」とやや短めで設定しています。

予約枠が埋まっているなどの理由から【時間帯予約】が取れなかった方も、【順番予約】のオンライン予約を活用すれば、極端に長い時間を院内で過ごす必要はなくなります。シンプルな【順番予約】に比べれば待ち時間が長くなりますが、非常に混んでいる時は院外で過ごす時間を少しでも確保できますし、並んで待つ余裕が無い時は「患者様自身が、予約の取れる時間帯に都合を調整する」といった動きも期待できます。

院内モニター・待ち状況表示

【順番予約】【時間帯予約】ともに待ち状況を表示しています。ただし、【時間帯予約】では番号券を配っていないので、あくまで「およその進み具合がわかる」という程度の目安となります。

また【順番予約】に関しては、本来は配布した番号と照らすことで「あと、どれくらいで呼ばれるか」が分かるところですが、【時間帯予約】中心の運用ですので、こちらもあくまで「すぐに呼ばれないことがわかる」程度の目安となります。

運用変更後の反応

「【時間帯予約】ができるようになり、以前よりも良くなった」というお声が、高齢の患者様中心に複数挙がり、概ね院長先生の狙い通りとなりました。混雑時には一部【時間帯予約】で予約できなかった患者様(つまり当日【順番予約】で待つことになった患者様)からクレームが出ることはあるものの限定的であり、全体的には好反応を示す方の方が多いようです。

また【時間帯予約】は、オンライン予約開始後から受付を終了するまでの間に用意した枠がほぼ埋まっている状態が続き、患者様にも「【順番予約】から【時間帯予約】へ運用を変更したこと」は、十分伝わっている様子です。

今回の運用方法は、慣れていないクリニック様が参考にするのは正直お勧めいたしません。こちらのクリニック様の運用が上手く回っているのは院長先生の手腕に依るところが大きく、一部の患者様から反発が来ることまで含めて想定しているため成立していますが、通常は我々から進んでお勧めすることはありません。

しかしながら、ともすれば危うい予約方式の組み合わせも、明確な狙いをもって、いくつかの工夫を積み重ねることで、上手に運用できる貴重な例でしたので、あえてご紹介させていただきました。予約システム検討、活用の参考にしていただければ幸いです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関連記事