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時間帯予約のトリセツ④~CASE2.時間帯シェアタイプの場合(後編)~

~前回までのおさらい~

4回目となりました「時間帯予約のトリセツ」シリーズ、今回は<時間帯シェアタイプ>解説の後編です。

時間帯予約の分類はじめ諸々順番に説明を進めていますので、前回までの記事を未読の方は、そちらから順番にご覧ください。

⇒シリーズ第1回 時間帯予約のトリセツ①~導入目的と4タイプへの分類~
⇒シリーズ第2回 時間帯予約のトリセツ②~CASE1.時間帯占有タイプの場合~
⇒シリーズ第3回 時間帯予約のトリセツ③~CASE2.時間帯シェアタイプの場合(前編)~

改めまして、<時間帯シェアタイプ>の時間帯予約とは以下のようなタイプを指します。

<時間帯シェアタイプ>
1つの枠中で複数人に対する診療行為を前提とした予約の取り方。30分程度の時間帯の中で複数人数の予約を取り、その時間帯の中で診療を進めていく方法。

前回は来院タイミングの話まで解説を進めました。

<時間帯シェアタイプ>の場合、予約患者が来院するタイミングは「予約の時間が始まる前」、そして予約なしで来院した患者は「当日の予約枠に割り当てて、予約の時間に間に合うように戻ってきてもらう」、つまり「待たずに案内できる時間を伝えて、一旦外出してもらう」という話でした。そのまま待合室に留まって待たれると院内が密になり兼ねませんので、すぐに案内できる状況を除いては、空いている予約枠への割り当てをしていくことになるわけです。

~<時間帯シェアタイプ>優しい関係性~

このように運用の流れを追いかけてみて気付くのは、<時間帯シェアタイプ>というのは、「区切られた時間を、特定のメンバーのみで占有する」という考え方に基づくものだということです。

クリニック側の視点から見ると、「一度に一定数の患者さんがまとまって来がちなので、区切りの時間ごとに多少バタバタする可能性はある」ものの、「予約した人数以上が院内に溜まるのを避けられる」ので、密防止に効果を発揮します。

一方、患者側の視点から見ると「全体の効率を優先した結果、長ければ予約した時間帯の目一杯まで待つことになるかもしれない」という部分は気にかかるものの、「長時間待つと言っても、予約した時間帯以上の待ち時間は考えなくて良い」ので、「そこまで待つわけではないから、混雑を避けるために多少我慢しよう」と思える訳です。

これは丁度、順番予約が「明確に呼ばれる時間はわからないけれども、待ち状況を確認しておけば目安はわかるし、下手に時間指定で予約をした挙句延々待たされるよりはマシだ」というような「ベストではないけれども、ベターではある解決策」に似ている所があります。より大きなメリットを手にするために、少しのデメリットを許容してもらうことで成立する、優しい関係性だと思います。

~<時間帯シェアタイプ>来院タイミングの波を解消~

ただし、1枠あたりの予約数を多くしすぎると院内が密になってしまいますし、無理な予約の詰め方をしてしまうと時間通りに進まず「我慢の限界を超えて、不満を高める」ということになってしまいますので、そのあたりは注意が必要です。全体的に混んでいて「予約なしで来た人に割り当てる空き枠がない」といった場合も、大抵はどこかに割り込んで診察することになりますので、結果としては全体的に約束が守れなくなってしまいがちです。従って、患者数が運用の破綻を招くほど多い状況では、他の予約方法をお勧めします。

しかし、上手く<時間帯シェアタイプ>を成立させられる状況であれば、極端な混雑を避けつつ患者さんを長時間待たせずに済みますので、魅力的な方法ではあります。特に「来院タイミングの波で、時々だけれども混雑する」とか、「ずっと混んでいるわけではないのに、いつも後ろの時間に偏りがちで、診察終了時間を過ぎてしまうことが多い」といったお悩みに対しては、かなり良い線を付いた解決策になり得ます。

~<時間帯シェアタイプ>診療動線の複雑さにも対応~

少し話は変わりますが、<時間帯シェアタイプ>がフィットしやすいクリニックの特徴として「状況次第で頻繁に順番が前後する」というものがあります。診療科目で言えば眼科や内科でありがちですが、検査や診察といった動線が複雑に入り組んでいる場合<順番予約>を活用しても上手く順番になるポイントを絞り込めずイマイチ効果を発揮できなかったり、ピンポイントで<時間帯占有タイプ>を絡めても予約無しで来る患者さんのコントロールができないために長時間の待ち時間が発生したりします。このようなシチュエーションにはまさに<時間帯シェアタイプ>がピッタリで、呼び出す順番が来院順である必要がなく、計画的に来院タイミングをコントロールして院内の密を回避しやすいと言えます。

<時間帯シェアタイプ>を実施する上で最も重要なのは「約束した時間の中で診療行為が終わる」という患者さんの期待に応え、納得感を得ることです。1枠あたりの来院人数には明確に制限をかけ、「場合によっては約束した時間のギリギリ目一杯までかかるかもしれないけれど、それ以上は決して待たせないので少しだけ我慢してください」という、お願いを受け入れてもらうことで成立する方法です。当然「少しでも早く帰れる」とか「来院した順番通りに呼ばれる」といったことも可能ならばやった方が良いのですが、できなければ無理に来院順にこだわる必要はありません。繰り返しになりますが納得感を得るポイントは「約束した時間の中で診療行為が終わる」ということで、言葉を選ばずにやや雑な言い方をすれば「予約した時間帯の中で診療行為が終わるのであれば、順番の前後は気にしなくても良い」ということになります。もちろんこの点は、明示しておかないと患者さんの期待に反する可能性は出てきますので、ルールの周知活動を通して前提を共有することはとても大事です。

~<時間帯シェアタイプ>1枠あたりの時間~

また<時間帯シェアタイプ>、特に診療動線が乱れる際には「1枠あたりの長さ」に関しても注意点があります。それは「何の目安も無くイライラせずに待てる時間を上限として設定する」という点です。何か定期的に進展があれば良いのですが、受付した後に進展なく放置せざるを得ない状況が続くのであれば、1枠あたりの時間を長くしすぎるのはお勧めできません。「目安無しの人がイライラし始める時間は30分~40分、一定時間を超えてからイライラする人数は加速度的に増える」というのがクリニック向け予約システム業界の「あるある」ですので、目安としては「1枠30分程度」の設定からスタートするのがおススメです。

もしも、「1枠をより長い時間に設定したいけれど、こまめに進展が望めない」という状況であれば、この後説明する<順番制細分化タイプ>など、番号券を組み合わせたほかの時間帯予約にスイッチするか、そもそも<時間帯予約>ではなく<順番予約>で運用を組み立てた方が良いかもしれません。ただし、諸々の状況次第でベターな選択は変わってきますので、なかなかご自身で判断されるのは難しいと思います。無理せず早めにご相談いただいた方が、賢明かもしれません。

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