BLOG

導入を検討している
先生、並びにスタッフの皆様へ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 予約システムの使い方
  4. 時間帯予約のトリセツ⑨~まとめと補足~

時間帯予約のトリセツ⑨~まとめと補足~

~前回までのおさらい~

~<時間帯予約>における4種類のタイプ(まとめ)~

まずはじめに時間帯予約を4種類のタイプに分類するところからスタートし、4種類それぞれのタイプについて考察を進めた結果、およそ以下のような特徴が浮かびました。

<時間帯占有タイプ>
1枠1人への診療行為を前提とした予約の取り方。10分~15分程度の小分けになった時間で組みたてることが多い。明確に日時を指定した「日時指定予約」と、考え方はほぼ同じ。

  • 診療所では「1人あたりの時間が一定になりにくい」「当日の飛び込み患者の対応も考えなくてはならない」といった事情から、1人1枠で完全予約制のように管理するのは難しいことが多い。このため「一部分の患者に対して用意された、スポット的な予約枠」として活用されるのが一般的。
  • 全体の「快適な待ち時間」を実現させるためには、「予約外患者」のケアも重要。その際、<順番予約>など、<時間帯占有タイプ>以外の方法を組み合わせて「予約外患者」の対応にあたる工夫が大事。
  • 「事前の準備が必要」「空いている時間に新患の予約を集めたい」など、個々の目的がはっきりしている内容で予約を設定することもある。
  • 来院タイミングは「予約の開始時間より前」に来るよう誘導するのが一般的だが、場合によっては「予約の開始時間から終了時間の間」で来院タイミングに幅を持たせることもある。この時、「他の患者との兼ね合いを考えること」など、いくつかの注意点が発生する。
  • 患者数が著しく減少している状態であれば、完全予約制のように管理することも可能。このとき患者のコントロール力は他のタイプの予約と比べても強力だが、「あくまで一時的な、患者数の減少」であることを念頭に、患者数が多くなった際にはほかの方法に切り替える必要がある。

<時間帯シェアタイプ>
1つの枠中で複数人に対する診療行為を前提とした予約の取り方。30分程度の時間帯の中で複数人数の予約を取り、その時間帯の中で診療を進めていく方法。

  • 患者の来院タイミングを分散化させやすい。「予約した人数以上が院内に溜まるのを避けられる」ので、密防止にも効果を発揮する。ただし、原則患者が来院するタイミングは「予約した時間帯の少し前」となる。
  • 来院タイミングの分散化を第一に考えると、予約せずに来院した直来患者に対しては、その日の空いている予約枠に割り当てた上で、来院時間を伝えて出直してもらうことになる。
  • 1枠あたりの予約数を多くしすぎると院内が密になるので、調整が必要。
  • 予約した時間帯の中で診療行為が終わることを前提として順番の前後が許容されやすいため、検査や診察といった動線が複雑に入り組んでいる場合にも対応しやすい。
  • 何の目安も無くイライラせずに待てる時間を上限として設定する必要があるため、1枠30分程度の設定からスタートすると良い。
  • <時間帯占有タイプ>同様、事前の準備が必要な内容に対しても事前予約で対応しやすい。

<順番制細分化タイプ>
<時間帯シェアタイプ>同様、1つの枠中で複数人に対する診療行為を前提とした予約の取り方。1枠1時間など、<時間帯シェアタイプ>よりも1枠の時間を長めに取るのが特徴。予約した上で長い時間待たせる可能性があるので、時間帯ごとの順番を割り振って番号券を渡すなど、<順番予約>的な要素が組み合わされる。順番予約の[午前][午後]といった大きな枠組みを細分化したような方法。

  • 時間帯予約の中でも順番予約の要素が強いが、時間を意識した側面も持ち合わせるハイブリッドな予約方式。
  • <時間帯シェアタイプ>同様、患者の来院タイミングを分散化する効果がある。その際、来院タイミングは「予約開始時間の前」となる。
  • 1枠あたりの人数が多いと密になってしまうので、<時間帯シェアタイプ>同様に人数の調整が重要。
  • 進め方は配布した番号の順番通りとするのが原則。順番が前後するようなケースには対応しにくい。
  • <時間帯占有タイプ>や<時間帯シェアタイプ>同様、事前の準備が必要な内容に対しても事前予約で対応しやすい。

<順番制拡張タイプ>
<時間帯シェアタイプ>や<順番制細分化タイプ>同様、1つの枠中で複数人に対する診療行為を前提とした予約の取り方。1枠を[午前][午後]あるいは一日を通した大きな枠組みで捉えてしまうのが特徴。<順番制細分化タイプ>よりも更に枠が広いため、順番を割り振って番号券を渡すなど順番予約的な要素がより強く求められる。当日の運用自体は、<順番予約>とほぼ同じ。

  • 予約枠が始まる前に全員を集合させるのではなく、大枠の中で患者の自由に任せて来院させる。このため来院タイミングが流動的になり、事前の準備が必要な内容にはあまり適さない。
  • 予約患者と予約を取らずに来院した患者の当日における扱いは原則同じ。
  • 「再来率の向上」など、集患や増患を意識した目的で活用しやすい。

~オーソドックスなパターンからのアレンジ~

これまでは<時間帯予約の4タイプ>それぞれにおけるオーソドックスなパターンを想定してきましたが、実際に活用する際には、様々な事情からアレンジが加わることもあります。例えば、システムを導入する一つの大きな目的が「業務の効率化」であることからすれば当然ですが、「運用上のやりやすさ」を加味しながら状況に合わせてルールをすり合わせると、基本のパターンとは少し異なった運用になってきます。

<アレンジの一例>
・回転が速く、時間帯シェアタイプで30分1枠だと待合室が密になってしまう。
⇒ 時間帯シェアタイプの運用を基本としつつ、1枠あたりの時間を短縮して15分1枠にする。

・一定の分散化は狙いたいが、全体的に見ると常に予約枠には多少の空きが設けられるので、厳密に来院タイミングをコントロールしなくとも運用が破綻しない。
⇒ 予約開始時間に集合させずに時間帯シェアタイプで対応。細かく管理する手間を考慮して、1枠あたりの時間も長めの1時間で設定。

・順番に進めるけれども番号を渡す手間を省きたい。30分1枠程度に細かく区切っても時間枠をまたいでズレ込むような状況は起こりにくい。
⇒ あえて順番制細分化タイプでは無く、時間帯シェアタイプで対応。

・時間帯シェアタイプできっちり進めるために、集合タイミングをより強力にコントロールしたい。
⇒ 電話呼び出し機能を補助的に組み合わせて、「電話で呼び出されるまで外で待機」というルールを徹底させる。

これらの事例は現場の状況や、「何を優先するか」といった基準により適切な選択が変わることを意味します。システムを運用する上では前提となる状況が流動的に変わることもあり、「これをやっておけば絶対に大丈夫」といった普遍的で安全なやり方というのは期待しにくいのが実情です。状況の変化に運用が適合しなくなり、何らかの問題が出て来た時には「次にどこを、どう変えれば良いのか?」という改善の足掛かりとして「典型的なパターンと照合する」というのは、短時間で適切な運用を探り当てるのに有効な方法です。

関連記事