時間帯予約のトリセツ⑥~CASE3.順番制細分化タイプの場合(中編)~
~前回までのおさらい~
6回目となりました「時間帯予約のトリセツ」シリーズ、今回は<順番制細分化タイプ>解説の中編です。時間帯予約の解説を少しずつ説明していますので、前回までの記事を未読の方は先にそちらをご覧ください。
⇒シリーズ第1回 時間帯予約のトリセツ①~導入目的と4タイプへの分類~
⇒シリーズ第2回 時間帯予約のトリセツ②~CASE1.時間帯占有タイプの場合~
⇒シリーズ第3回 時間帯予約のトリセツ③~CASE2.時間帯シェアタイプの場合(前編)~
⇒シリーズ第4回 時間帯予約のトリセツ④~CASE2.時間帯シェアタイプの場合(後編)~
⇒シリーズ第5回 時間帯予約のトリセツ⑤~CASE3.順番制細分化タイプの場合(前編)~
改めまして、<順番制細分化タイプ>の時間帯予約とは以下のような方法を指します。
<順番制細分化タイプ>
<時間帯シェアタイプ>同様、1つの枠中で複数人に対する診療行為を前提とした予約の取り方。1枠1時間など、<時間帯シェアタイプ>よりも1枠の時間を長めに取るのが特徴。予約した上で長い時間待たせる可能性があるので、時間帯ごとの順番を割り振って番号券を渡すなど、<順番予約>的な要素が組み合わされる。順番予約の[午前][午後]といった大きな枠組みを細分化したような方法。
前回は、診療予約システムにおける<順番予約>というのは「広義の時間帯予約」に含まれ、<順番制細分化タイプ>というのは「時間帯予約の中でも順番予約の要素が強い」けれども、「時間を意識した予約」なので<時間帯予約>の一種として考えた方が理解しやすい、という話まで解説を進めました。もう少し具体的に見ていきましょう。
~<順番制細分化タイプ>要素の分解~
まずは<順番制細分化タイプ>の要素を分解していきます。
- 予約の取り方は<時間帯シェアタイプ>と同じように、1つの枠に対して複数人。
- 1枠あたりの時間は1時間など、<時間帯シェアタイプ>よりも長め。
- 長い時間待たせる可能性があるので、時間帯ごとの順番を割り振って番号券を渡す。
3つ目の要素が特に「順番予約」に似ています。「長い時間待たせる可能性がある」というのは、2つ目の「1枠あたりの時間が長め」という背景によるものです。この点も順番予約の考え方に重なるものです。
~<時間帯シェアタイプ>来院タイミング~
来院タイミングを見てみましょう。<時間帯シェアタイプ>では「予約開始時間の前」に来ている必要がありました。一方<時間帯占有タイプ>では「予約時間帯の間」に来ることもあるという話でした。<順番制細分化タイプ>は、どちらなのでしょうか?
<時間帯シェアタイプ>同様に「1つの時間枠に対して複数の人」が予約を取るので、「予約した時間枠のどこかに来れば良い」としてしまうと、極端な話、全員が同じタイミングでギリギリに来てしまう可能性が出てきます。
従って、<時間帯シェアタイプ>と同じように「予約開始時間の前に来る」というのが正解です。
~<順番制細分化タイプ>呼び出す順番~
では、予約内での診察の順番はどうでしょうか?<時間帯シェアタイプ>では、「予約した時間帯の中で診療行為が終わるのであれば、順番の前後は気にしなくても良い」ということでした。一方「順番予約」の場合は、多少の例外はあるとしても「基本的には順番通り」に進めました。<順番制細分化タイプ>はどちらでしょうか?
順番制細分化タイプでは、「待つ時間の長さ」が「何もせず放置しておくと不満が一気に高まるポイント」を超えてしまうので、番号券を渡して順番を約束します。従って、「順番予約と同じように、基本的には順番通り」というのが正解です。「番号券は配っても順番通りに進めない」という方法を選択すれば、「あなたのことを、忘れていませんよ」という意思は表示できるかもしれませんが、待ち時間の目安にはなりません。番号が記載されていると感覚的には「番号順に進むもの」と思われやすいので、順番通りではないことに対して「約束を破った」「裏切られた」「忘れられた」と思われてしまうかもしれません。
~<順番制細分化タイプ>ハイブリッドな予約方式~
そもそも時間帯予約で「時間を意識させる」という背景には、「来院する時点の」混雑を解消させる狙いがあります。一方、順番予約では呼び出すタイミングを患者さんと共有することで、「受付後、呼び出される直前まで」の不自由さを緩和して、不満を解消することが狙いです。受付後の外出を促せば、「呼び出される直前まで」の混雑を緩和することもできます。順番予約でも「患者さんに待ち状況を確認してもらい、できるだけ空いているタイミングを見計らって来てもらう」といった行動が浸透すれば、「受付時点の混雑解消」に対して一定の効果を見込めますが、「空いていたから狙って来てみたら、タイミングが重なってしまった」というようなことも当然あり得るので、やや運任せな部分が残ります。<順番制細分化タイプ>では、時間帯予約の「時間への意識」と、順番予約の「呼び出しタイミングの共有」を合体させることで、「来院タイミングの分散化」と「受付後、呼び出される直前までの不満」を同時に解消しようとします。
ここで、「順番予約と時間帯予約の良いとこ取りならば、<順番制細分化タイプ>だけですべて解決ではないのか?もはや、ほかの時間帯予約のタイプや、順番予約すらも<順番制細分化タイプ>に置き換えてしまえば良いのではないか?」と思った方もいるかもしれませんが、残念ながら話はそう簡単ではありません。