クリニック予約のヒント(3)Web予約運用のコツ
クリニック予約の
疑問に答えるシリーズ
シリーズ「クリニック予約のヒント」では、よくある質問・疑問に対して端的に回答していきます。
3回目となる今回はこちら
Q:病院やクリニックで、WEB予約を上手に運用するためのコツを教えてください。
では、参ります。
優先的な「目的」を考える
WEB予約の目的は何でしょう?
- スッキリした待合室を作りたい。
- スタッフの負担を減らしたい。
- 集患・増患に役立てたい。
例えば、「スッキリした待合室を作りたい」のであれば、「できるだけ多くの人が、外で待てる状態にする」必要があります。
「スタッフの負担を減らす」のであれば、即時対応が必要な「WEBや、事前の予約無しで来院する患者」を少なくすることがカギになります。
「集患・増患」目的のWEB予約ならば、「初めて見た人がWEB予約できる状態にする」ことが重要でしょう。
「あれも、これも」という気持ちもわかります。
しかし、ここでのコツは「最優先の目的を見極める」こと。
もちろん、複数の課題が1つの方法で同時に解決するのはよくあることです。
しかし、一挙両得を狙った結果が、「一も取らず二も取らず」では困ります。
微妙なバランスの上に成立する「予約の運用」においては、そういうこともよくあります。
まずは「絞って見極める」。
これをお勧めします。
「人」を軸に考える
「誰が使うのか?」
予約の運用において、あるいはシステムの運用において、これは重要なテーマの一つです。
最先端の技術を使う場合、利用者の「得意・不得意」という問題は必ず発生します。
ここでのコツは「無理を強いないこと」。
WEB予約が不得意な方、例えば一部のお年寄りには、WEB予約をしなくとも通れる道を用意しておく。WEB予約ができる人には、より便利に活用してもらう。
不公平に感じる方が出ないように、「選べる選択肢が少ない人」を優先的に対応することでバランスを取っていきます。
当日対応を前提とした「順番予約」ならば、「窓口受付の開始が先、WEB予約はその30分後にスタート」といったバランスの取り方が、未来予約を前提とした「時間帯予約」ならば、「電話や窓口でスタッフが予約をする対応が先、WEB予約の開始は後」、もしくは同時開始でも「WEB予約のみで枠数の上限に達しないように、制限されている」といったバランスの取り方が重要です。
フィールド上の説明
逆説的ではありますが、「WEB予約を活用する人数を増やしたい」と考えるのであれば、「患者様とスタッフ様が接する際の案内に注力する」、これがコツです。
まず「何ができるのか?」、そして「どうやって使うのか?」、「いつから利用できるのか?」、「自分以外の予約も取れるのか?」など、利用する上で理解しておくべきことは、知らない人にとっては意外と多く感じられるもの。
「インターネットが世界に開かれている」とはいえ、こっそりWEB予約を開始しただけでは、利用者が急増することも、患者数が激増することも、まずありません。
「WEBで予約が取れます」「次回はWEBでやってみてください」「ここに書いてある方法で試してみてください」「ご協力お願いします」と、帰りがけに丁寧にお声がけを繰り返すことで、徐々に徐々にその輪が広がっていきます。
もちろん、WEB上に「WEB予約がこうすればできる」といった情報を掲載しておくことをお忘れなく。
それは、純粋なWEB経由の来場者だけでなく、口コミから「WEB予約への興味」を覚え訪れた人に、向けたものでもあるのです。
かける手間を選ぶ
最終的には、コストや見合う労力から「WEB予約の、現実的な落としどころ」を見定めていくことになります。
例えば、時間帯予約による「完全予約制」を前提とすれば、院内の混雑はしっかりとコントロールできるかもしれませんが、予約枠が一杯の時には対応できない人が出るかもしれません。そもそも、予約の管理にかかる手間が増えすぎて、スタッフ様は大変な思いをすることでしょう。
WEB予約にしても、効率化を求めるあまり「WEBで予約した人しか、基本的には対応しない」といったことをすれば、IT機器が苦手な患者様は自然と離れていくかもしれません。
一部のクリニック様では可能かもしれませんが、一般的にはこれらはやや極端です。
コツはやはり「無理をしない」こと。
無理をすれば、破綻した部分を何かで埋めることになりますが、埋め方次第では、良くない影響が全体に広がりかねません。理想はあくまで理想。現実では、対応する「人」ありきで予約は動きます。
どれほど便利でも、慣れないうちは手間に感じることも多くございます。得られるメリットを考えながら一歩ずつ変えていくこと、無理なく続けられる運用を出発点としてそこから少しずつ理想を目指すことをお勧めします。
以前私が見た、とあるクリニックでは、WEB予約の運用を決める段階でかなり強引に、、
おっと、失礼しました。
このシリーズは「端的な回答」が条件でした。
話題は尽きませんが、この先はまた別の機会に。
Summary(まとめ)
- 目的は、何を優先するか絞って考えることが重要。
- 利用者をイメージして、無理なくできる運用を考える。
- 選べる選択肢が少ない人を優先するとバランスがとりやすい。
- WEB予約を広めるためには、スタッフからの案内が効果的。
- 得られるメリットと手間を比べ、理想に向けた現実的な運用を定める。
- 投稿者: 佐藤三千代
- 予約システムの使い方
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